初の届出 コラーゲンで 「肌の健康に役立つ」訴求 (2020.4.9)


 「肌の健康に役立つ」。機能性表示食品についてこうしたヘルスクレームが届出された。具体的には、「肌の水分量(潤い)と弾力性の低下を抑え、肌の健康に役立つ機能が報告されています」として、肌の弾力低下を抑える働きまで訴求する内容。保健機能食品全体を通じて初のヘルスクレームとなる。機能性関与成分はコラーゲンペプチド(魚由来)。江崎グリコが届け出た。

 この届出は3月27日に公開された。肌領域の機能性表示食品は4月3日現在224件(取り下げ含む)に上る届出があるが、「弾力低下を抑える」「肌の健康維持に役立つ」といったヘルスクレームは初となる。

 これまでの肌領域の届出は、水分量保持や乾燥の緩和といったいわゆる「保湿機能」が大半を占める。昨年7月以降になってからは「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」として、〝肌の明るさ〟にも間接的に関わる新たなヘルスクレームが複数社から届出されているが、肌に対するヘルスクレームの種類は限られていた。

 今回初めて届出が公開されたが、肌の弾力を巡るヘルスクレームは、さかのぼると2015年4月の制度施行直後からコラーゲンペプチド以外にも複数の原材料事業者らが届出にチャレンジしていた。ただ、機能性表示食品のヘルスクレームの対象となる健康維持・増進の範ちゅうかどうかが議論になり、届出資料がことごとく差し戻される状態が続いた。

 他方で、保湿機能の届出は相次いだ。そのため、業を煮やして直談判に乗り出したり、皮膚科専門医の見解を用意して再度の届出に臨んだりする事業者も現れたが、消費者庁はゼロ回答。しかし、〝飲む日焼け止め〟などといった過剰とも言える表現で肌への効果を標ぼうするいわゆる健康食品が市場に存在する中でのこうした制度運用に対しては、「科学的な根拠を持つ商品が(消費者に)提供できず、健全な市場形成ができなくなる懸念がある」(販売会社開発担当)と疑問視する声も上がっていた。

 そうした中での今回の肌弾力低下機能などを訴求する届出の公開。消費者庁は、提出された届出資料が届出ガイドラインの規定に沿っているかを「形式確認」の上で届出番号を付与、公開しており、少なくともその上においては不備がないと判断されたと考えられる。

グリコ届出 新田がSR
 江崎グリコが今回届け出たのは『ggヘスペリジン&コラーゲン』を商品名とする清涼飲料水。モノグルコシルヘスペリジンも併せて機能性関与成分としており、コラーゲンペプチドによる肌に対する機能性に加え、「冷えによる皮膚表面温度の低下を軽減」といったダブルヘルスクレームを行うことになる。

 コラーゲンペプチドについては「魚由来低分子コラーゲンペプチド」を機能性関与成分名とした。「魚を原料とした平均分子量が1000以下になるまで細かく分解されたコラーゲンペプチドのこと」との説明が付け加えられている。

 公開された届出資料によると、コラーゲンペプチドの研究レビューを実施したのはコラーゲンペプチド製造販売大手の新田ゼラチン。レビューに基づく1日あたり摂取目安量は2.5㌘となっている。このレビューを活用した届出サポートに乗り出すのかどうか。新田ゼラチンの今後の動きも注目だ。

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