農産物輸出促進で新法1日施行 健康食品も活用可能(2020.4.9)


 農産物輸出促進法(農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律)が4月1日に施行された。輸出手続きの円滑化や支援措置などが講じられる。対象は農林水産物だけでなく食品も含まれており、健康食品業界も利用が可能だ。政府では輸出策の強化によって、2030年に輸出額5兆円の目標達成を目指す。

 新たに施行された法律は、主に①政府の輸出本部の設置②輸出手続き円滑化の各種措置③事業者への輸出支援措置──の3つの取り組みで構成されている。

 ①は輸出施策の司令塔として、農林水産省に農水相を本部長とする輸出本部を設置する(4月1日付で設置済)。同本部には厚労相や経産相など関係閣僚が参加し、各国との一体的協議や工程表の進捗管理などを行う。工程表は昨年6月に策定されたもので、米国・EU向け牛肉処理施設のHACCP認定など、認定に時間を要する食肉加工施設関連の取り組み促進やタイ向け豚肉の輸出解禁交渉関係など、115項目が盛り込まれている。

 ②は輸出に必要な輸出関連証明書の発行や生産区域指定、加工施設認定などを法定化したもので、これまでは各省や都道府県の通知に基づいて行われており、法的根拠がなく、手続きも煩雑とされていた。法定化により、農水相や厚労相、都道府県知事などが発行・認定可能となり、行政側でワンストップの対応を目指していく。

 輸出関連証明書や生産区域指定、加工施設認定などが必要となる国・地域は、米国、EU、中国、東南アジア、オセアニア諸国などで、全ての国が求めているわけではない。また、対象品目も大部分が肉類、乳製品、水産物などで、加工食品はほとんどない。

 ③は、事業者が輸出のために行う設備投資(HACCP推進含む)などについて、日本政策金融公庫の融資・債務保証対象とするほか、農水省の関連補助金を優先的に受けられるようにする。これらの支援措置を受けるためには、所定の「輸出事業計画」を作成し、都道府県、地方農政局を経由して農水省の認可を得る必要がある。

 農産物輸出促進法は主に農林水産物を念頭に置いたものだが、食品一般、健康食品も利用可能で、食品の場合は、前述の③部分が主に関係してくる。農水省では農産物輸出促進法の施行に合わせて、輸出相手国の食品表示制度への対応を支援する窓口も開設しているが、「健康食品は相手国の医薬品や保健機能食品制度を踏まえておく必要があり、そこは従来と変わらずに対応していただきたい」(農水省輸出先国規制対策課)としている。


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