ファンケル20年3月期 サプリ事業、売上440億円 (2020.5.14)


 ファンケルの2020年3月期の業績が5月7日発表された。直営店舗の臨時休業など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、第4四半期(今年1~3月)は前年を下回ったものの、同期売上高は対前年比3.5%増の1268億1000万円、経常利益が同15.9%増の143億1300万円の増収増益となった。そのうちサプリメント事業は、直営店におけるインバウンドの売上減少が響き、同0.2%増の440億600万円の微増にとどまった。

 19年度のサプリ事業の概況は、同社がスター製品として位置付ける機能性表示食品の「内脂サポート」「尿酸サポート」が好調に推移するなど第3四半期までは3~4%の伸び率で推移。しかし第4四半期で急ブレーキがかかった。通販と卸販売(ドラッグストアや量販店など)は前年を上回る売上だったが、店舗販売(直営店)が新型コロナの影響を受けた。

 直営店のサプリ売上を前年と比較すると、第1四半期(39→34億円)、第2(37→35億円)、第3(34→33億円)と、前年を下回ってはいたものの、ほぼ横ばいで推移。それが第4半期では、32→23億円と3割近く減少した。訪日客減少に伴うインバウンド売上減が、直営店でのサプリ売上に影響したとしている。

 一方、サプリ事業のセグメント利益は、売上総利益率の改善に加え広告費の効率的な使用などにより、同16.4%増の40億9500万円の増益だった。

今期のサプリ3つの方向性
 今期サプリ事業の取組みでは、「3つの方向性で成長させる」(島田和幸社長)考えだ。ひとつは機能性表示食品制度を活用したスター製品の育成・強化。2つ目は、コラボ展開による飲料・食品形態の提案。3つめはオーダーメイドサプリの提案。

 同社の代表商品で機能性表示食品として展開する「えんきん」「カロリミット」などに続くスター製品として「血圧サポート」(機能性表示食品)を育成する。具体的な時期は明らかにしていないが、戦略商材として積極的にプロモーション展開を図る計画。

 また、すでに走り始めているコラボ展開については、資本提携するキリンホールディングスのプラズマ乳酸菌を活用し、ファンケルの処方・機能を付加したサプリメントを今秋以降に投入する。キリンビールからはノンアルコール飲料がコラボ商品として予定されている。

 中国での展開も加速させる。越境ECのプラットフォームを現状の5から9に展開する数を増やす。また、美容サプリメント、飲料とともに、青汁はEC、テレビショッピングで展開させるなどして需要を喚起する。

 また、かねてより予定していた中国本土での販売も始める。ビタミン、ミネラルの販売許認可を年内中に取得し、まずは越境ECで販売展開しながら、協力関係にある国有企業の中国国際医薬衛生の薬局など販売チャネルでの展開も視野に入れる。
 国内外の事業施策を実行し、21年3月期のサプリ事業の売上高見込みを同1.6%増の447億円としている。

 21年3月期の業績見通しは、新型コロナの影響が国内向けが今年8月まで継続し、インバウンド向けが10月以降に徐々に回復することを前提に、売上高は同0.1%増の1270億円、経常利益は同2.0%増の146億円とした。

インバウンド 小林 売上11億円に半減 ポーラ 90億円の減収に
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、インバウンド需要を見込んだ企業の業績が下降線を辿っている。先月下旬に小林製薬とポーラ・オルビスホールディングスが決算情報を発表し、それぞれでインバウンドによる売上が大きく落ち込みを見せた。

 小林製薬の2020年12月期第1四半期の決算説明資料によると、1~3月のインバウンド売上高は前年同期は22億円だったが、今期は11億円に半減した。1月は売上が前期比97%だったが、2月は同41%、3月は19%まで落ち込んだ。インバウンド向け商材の売上状況をみると、マスクを除き、外用消炎鎮痛剤や更年期障害対応の医薬品などすべて商材が前年を大きく下回り、サプリメントのナットウキナーゼは前期比45%だった。

 インバウンドの売上は下がったものの、マスクをはじめとした除菌・衛生関連製品は需要が大きく伸長。マスクやのどスプレー、除菌クリーナーなどが前年の2~5割増となり、17億円の増収効果があったという。

 一方、ポーラ・オルビスの業績は厳しい。20年12月期第1四半期の概況は、基幹ブランドのPOLAはじめ他のブランドも前年を下回った。訪日客減少に伴うインバウンド売上で90億円減収したという。また、国内百貨店の営業時間短縮も売上減収に影響した。

 同社は決算発表の同日、2月に公表した今期業績予想を下方修正した。新型コロナの影響は第2四半期以降も継続するとの見通しのもと、売上高を従来予想の2170億円から270億円引き下げた1900億円としている。




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