定期巡る相談 増加の一途 消費者白書も問題視 4万件超える(2020.6.25)


 今月9日公表された令和2年版消費者白書に、健康食品や化粧品の定期購入を巡る消費生活相談件数の増加が取り上げられた。相談件数は2015年以降、右肩上がりの増加傾向を見せ、前年(18年)は約2万2000件と2万件を突破していたなかで、19年は約4万4000件と前年の2倍に達した。定期購入に関する相談の9割以上がインターネット通販によるもので、健康食品、化粧品が占める割合はそれぞれ約6割、約4割になっているという。

 白書によると、19年の定期購入を巡る相談件数は、15年比では10倍超の水準まで増加。最近では、20歳未満、20歳代からの相談件数の増加が目立つという。

 白書は、健康食品、化粧品ともに、定期購入を巡る相談の増加によって相談件数全体が押し上げられていると指摘。実際、19年に健康食品について寄せられた相談は全体で約4万9000件(18年約3万3000件)だったが、そのうち過半数の約2万6700件が定期購入に関するもの。前年から約1万2300件も増加した。

 化粧品も状況は同じ。19年の相談件数は全体で約3万2000件。そのうち約1万7000件が定期購入に関する相談で、同相談の前年比は約1万件の増加となった。

 インターネット通販での健康食品の定期購入に関する相談事例として、白書は、「『ダイエット効果のあるサプリメント、お試し500円』という広告を見て注文したところ2回目が届いて数千円の代金を請求され、慌てて事業者に確認すると、お試し価格で購入できるのは複数回の定期購入が条件だと告げられた」──などといった事例を取り上げた。「定期購入の条件に期間・回数が定められている場合や、消費者が契約内容を認識しにくい場合などがある」と指摘している。

 健康食品・化粧品のインターネット通販での定期購入を巡っては、JARO(日本広告審査機構)でも苦情を受け付けるケースが増えている。19年は234件と前年の98件から大幅に増えた。

 ネット通販などの定期購入に関する表示は、17年の特定商取引法施行規則改正によって、定期購入である旨や総額などを表示する必要が規定された。しかし苦情件数の減少は見られていないとJAROは指摘する。改正後の苦情内容は「よく見ると定期購入だと書かれているが、分かりにくい場所にある」などといった内容に変わっているという。

健康被害報告増加背景にも
 一方、健康食品の定期購入に関する消費生活相談件数の増加は、健康被害情報件数の増加につながる面もある。定期購入に関する相談と健康被害の訴えが一体化された相談が多いためだ。

 下痢などの健康被害情報が急増していることを理由に、消費者庁が昨年9月、消費者安全法に基づき社名や商品名を公表の上で一般消費者への注意喚起を行ったダイエット訴求のサプリメント『ケトジェンヌ』を巡る問題では、注意喚起が行われる以前から、定期購入に絡んだ苦情・相談が各地の消費者センターに寄せられていた。



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