消費者庁 栄養機能食品、議論へ (2020.10.8)


 消費者庁食品表示企画課保健表示室長は9月27日、都内で講演を行ったなかで、栄養機能食品についての議論を今後進める考えを明らかにした。ただ、議論の方向性に関しては今のところ定まっていないと言い、「専門家などの意見を聴きながら方向性を整理したい。具体的な動きになるのはもう少し先になる」と述べた。

 同日午後行われた第20回日本抗加齢医学会総会のシンポジウム「EXPO25に向けた保健機能食品の動向」に登壇し、「保健機能食品に関する最近の状況─機能性表示食品を中心に─」と題した講演の中で語った。

 同室長は、栄養機能食品について議論を行う背景として、機能性表示食品制度に関する検討会報告書を示した。2016年の「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」報告書のこととみられる。

 同報告書では、業界が要望した、ビタミン・ミネラルを機能性表示食品制度の対象に加える方向性を、「現時点では対象としないことが妥当」だとして退けた上で、「健康・栄養政策との整合性を図りつつ、まず栄養機能食品の制度において、別途検討すべき」と指摘していた。

 また、栄養機能食品に関する議論を行う背景には、業界団体の声もあるとみられる。
 サプリメントを取り扱う企業も複数参画するバイオ産業の業界団体、日本バイオ産業人会議(JABEX)が今年4月、政府が運用する規制改革ホットラインに「栄養機能食品の機能性表示に係る要望」を提出。「栄養機能食品において、最新の科学的知見から実証されている生理機能に基づき、栄養機能表示として新規の機能表示を順次認め」るべきだと訴えた。

 JABEXではまた、「ビタミン・ミネラルに関する(機能性表示食品の)機能性関与成分としての使用制限を緩和」した上で、「幅広く機能性表示を可能とする」ことも求めた。

 内閣府によると、JABEXの要望に対して消費者庁は「検討を予定」と回答。

 「専門家や事業者団体等との意見交換を行い制度の検討の方向性を整理した上で、当該方向性に沿って、順次、必要な科学的知見等の情報を収集・整理し、検討していく」と回答した。

健康・医療戦略、議論に影響か
 消費者庁が栄養機能食品の議論を今後行おうとする背景には、今年3月27日に閣議決定された「健康・医療戦略(第2期)」が影響している可能性も考えられる。「食品の機能性等を表示できる制度を適切に運用するとともに、機能性表示食品等について科学的知見の蓄積を進め、免疫機能の改善などを通じた保健用途における新たな表示を実現することを目指す」とされているためだ。

 免疫機能表示については機能性表示食品の届出が既に実現。しかし、閣議決定された「新たな表示を実現」は、免疫機能表示の実現をもって達成されるものではない。同戦略の期限は2024年まで。消費者庁をはじめ厚生労働省、農林水産省、経済産業省に対応が求められている。

 消費者庁は、今年度から特定保健用食品制度に規定されている疾病リスク低減表示の拡充に向けた議論を本格化させる方針を明らかにしている。議論を始めるための調査を昨年度実施した。

 この議論を進めるには、栄養機能食品制度で規格基準が定められているビタミンなどについて海外で認められているヘルスクレームの現状を無視できない。この議論と同時並行的に、栄養機能食品制度についても何らか検討、議論されていくことになりそうだ。

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