オリザノール 「専ら医」成分、初の届出 (2020.12.24)


 γ‐オリザノールを機能性関与成分にした機能性表示食品の届出が12月10日に公開された。同成分は、食薬区分の「専ら医薬品」リストの化学物質等の項目に収載されているもの。昨年実施された機能性表示食品制度の運用改善によって、同リストに含まれる成分でも、機能性関与成分として届け出ることを妨げないとする新たな考え方が提示されており、それに応じた初の届出となる。ただ、今回の届出では、届出表示内に成分名を盛り込まなかった。今後、同リスト収載成分を届け出る際の規範とされていく可能性がある。

 この届出を行ったのは、これまでALA(5‐アミノレブリン酸リン酸塩)を機能性関与成分にしたサプリメントを軸に届出を行ってきたSBIアラプロモ。発芽玄米ごはん(包装米飯)を機能性表食品として届け出た。

 機能性関与成分のγ‐オリザノールは、届出資料によると、後から添加したのではなく、もともと「米糠部に含まれているものである」という。

 厚生労働省が所管する食薬区分の「専ら医薬品」リストに収載されている成分本質(原材料)を機能性関与成分として届け出る場合について、機能性表示食品のQ&A(質疑応答集)では次のように解説している。
 「医薬品に該当しない場合には、機能性表示食品として届出することは妨げない」
 「ただし、当該成分本質(原材料)を機能性関与成分とする食品が、医薬品に該当しないことが不明確な場合は、届出確認時に消費者庁から厚生労働省に照会し、確認するものとする」

発芽玄米を届出 もともと含有
 「妨げない」とする背景には、厚労省監視指導・麻薬対策課が昨年3月に発出した課長通知「『医薬品の範囲に関する基準』に関するQ&Aについて」がある。同通知では以下の通り記載している。

 「『専ら医薬品リスト』に収載されているものであっても、それが野菜・果物等の生鮮食料品に元から含有される成分である場合は、当該成分を含有している生鮮食料品の医薬品該当性について、当該成分を含有することのみを理由として医薬品に該当するとは判断せず、食経験、製品の表示・広告、その製品の販売の際の演術等を踏まえ総合的に判断する」

 「また、当該生鮮食料品を調理・加工(伝統的発酵を含む)して製造された食品(伝統的発酵によって当該成分が含有されることとなるものを含む)についても、当該加工食品の製造工程において、当該成分の抽出、濃縮又は純化を目的とした加工をしておらず、かつ、食品由来でない当該成分を添加していない場合は、前段と同様の取扱いとする」(一部省略)

 SBIアラプロモが今回届け出たのはγ‐オリザノールがもともと米糠部に含まれる発芽玄米のごはん。同通知に照らして医薬品該当性が否定されたと考えられる。

 一方で、届出表示は極めて奇妙な形をとっている。
 この届出は、γ‐オリザノールの他に、玄米を発芽させる際に生成されるGABAも機能性関与成分とする。届出表示の全文は以下の通り。

 「本品はGABAを含みます。GABAは、血圧が高めの方の血圧を下げる機能が報告されています。また本品は、血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されている成分を含みます」

 このように、届出表示内でγ‐オリザノールの名称が伏せられた。広告等でγ‐オリザノールの含有を訴求することを制した格好と言える。医薬品成分であることに十分配慮した届出表示と考えられ、今後も、専ら医薬品リスト収載成分を機能性関与成分とする場合は同様の届出表示が求められることになりそうだ。

 ただ、「どの成分に効果があるのか(消費者にとって)分かりにくい」として、消費者の適切な商品選択に資する届出表示になっているかを疑問視する声が業界内からは上がっている。


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