詐欺的定期購入商法 増加止まらぬ消費者相談 (2021.1.28)


 健康食品や化粧品などのインターネット通販において、顧客の意に反して複数回の定期購入契約を結ばせる詐欺的な定期購入商法を巡る消費者からの苦情・相談件数が、2020年も大幅に増加した。消費者庁の調べによると、定期購入に関する20年の消費相談件数は約5万6000件に上り、対前年比で約26%増加。15年との比較ではおよそ14倍と激増している。9割以上がインターネット通販によるもの。

 同庁によれば、ネット通販の定期購入契約を巡る消費者からの苦情・相談軒数は15年に4141件だった。それが翌年に1万3000件と3倍以上に増加し、さらに19年には4万4000件まで膨らんだ。相談件数の増加はとどまることを知らない。

 こうした状況を受けて同庁は、詐欺的な定期購入商法を行うネット通販事業者の監視を強化。特定商取引法に基づく業務停止命令などの行政処分も相次ぎ下し、19年12月から今月13日までに6社を処分した。

 いずれも同法が禁じる顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為を認定したもので、このうち2社に対しては、6カ月間に及ぶ長期の業務停止を命じた。

 直近の業務停止命令処分は、健康食品を販売する事業者に対するもの。同庁は1月13日、健康食品の通販会社「スーパービューティラボ」(東京都港区)に対して3カ月の業務禁止命令を行い、同14日に発表した。

 広告、申込みの受け付け及び契約締結を3カ月間停止するよう命じたもので、同社が行っていた特商法行為に主導的な役割を果たしていた同社の従業員とみられる男性に対しても、同様に3カ月間の業務禁止命令を下した。

 同庁の発表によると、スーパービューティラボは、同社で運営する『ビナリス』というダイエット訴求サプリメントの公式オンラインショップで特商法違反行為を行っていた。同品を初回500円で購入できる定期購入コースの申込みについて、少なくとも5回の継続購入、総額として税抜2万6420円の支払いが必要となる条件を、容易に認識できないようにするなどしていた。

 「定期購入であることがわからなかった」「解約できない」などといった消費者からの苦情・相談件数も少なくなく、昨年4~12月の間に約4500件に上っていたという。

 一方、今回の行政処分との関連は不明だが、同社は昨年12月18日、ビナリス以外のサプリメント3商品に関する事業を、都内の別の会社に譲渡すると発表している。

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