カイコ冬虫夏草由来成分に機能性 新規物質ナトリード 認知機能改善が示唆(2021.2.1)


 養蚕技術を活用して得られたカイコ冬虫夏草から、認知機能を改善する可能性のある新規物質を発見したと、第一工業製薬(京都市南区)の100%子会社「バイオコクーン研究所」(岩手県盛岡市)が1月28日までに発表した。

 発表によると、同社が岩手大学らとの共同研究で発見した、認知機能改善機能を持つカイコ冬虫夏草由来の新規物質は、「ナトリード」という環状ペプチドの一種。培養細胞を用いた実験で、神経細胞の成長促進機能▽グリア細胞であるアストロサイトの増殖機能▽ミクログリアの抗炎症機能を明らかにした他、老化促進モデルマウスに対する7週間の経口投与試験で、低い濃度で空間記憶の回復機能が認められたといい、こうした実験結果を踏まえると、ナトリードが「認知症に対する新しい機能改善物質候補であることを示唆している」としている。

 研究成果をまとめた論文は、先月末までに学術誌「PLOS ONE」に掲載された。第一工業製薬は現在、ナトリード含有カイコ冬虫夏草を用いたMCI(軽度認知障害)対象ヒト介入試験を進行中。同時に、認知症患者が参加する臨床試験も進めているという。

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