CBD製品で買上調査 厚労省、定期的に行う方針(2021.5.13)


初回調査12品THC不検出
 厚生労働省がCBD製品の買上調査を行っていたことが分かった。大麻に該当する疑いがあったり、不当表示の可能性があったりするCBD製品が国内市場に流通しているかを把握する目的。併せて、CBD製品の国内販売状況も調査していた。同省では、これら調査を今後も定期的に行う考えを示している。

 厚労省は、CBD製品の買上調査を、昨年12月~今年2月にかけて実施。インターネット上で販売されていた「液状」の12製品を買い上げ、含有成分の分析を行った。その結果、大麻に含まれているため規制対象となる幻覚成分のTHCは、全ての製品について「不検出」だったという。

 ただ、同省がCBD製品の買上調査を実施した背景には、国内市場に流通していたCBD製品から、以前、微量ながらTHCを含み、大麻取締法上の大麻に該当する疑いのある製品が複数発見されたことがある。当該製品の販売会社は自主回収を行った。同省では、今後も定期的に調査を実施する考えを示しており、CBD製品に関わる事業者は今後、販売する製品にTHCが含まれないかどうか、相当の緊張感を求められることになる。

 国内市場に流通するCBD製品の含有成分を巡っては、最近、日本では医薬品として取り扱われるメラトニンが検出された事例も発生している。今年3月、東京都が外部からの情報提供を受けて実施した分析調査で発見された。都は、薬機法違反に当たるとして販売会社に販売中止と回収を指示した。

 一方、厚労省は、CBD製品の買上調査とは別に、国内販売状況調査を昨年6~8月に実施していた。
 同調査は、CBD製品の種類を始めCBDの含有量やその他成分などについて調べ、国内におけるCBD製品の流通状況を把握することを目的に実施したもの。調査はインターネット上で行い、「CBD 販売」のキーワードで検索された139製品を対象に調査した。

 調査の結果、139製品のCBD含有量は、1~99%と非常に幅があり、CBD以外の含有成分としては、カンナビジバリン、カンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビノールといったカンナビノイド類などを含んでいることが確認された。

 また、CBD製品の種類としては、グミやオイルなどの食品から、シャンプ―やマッサージオイルなどの化粧品、リキッドやワックス、ペット用オイルなどの雑品まで、多種多様な製品が見られたという。

 同省は、CBD製品に関して調査を実施していたことを、4月23日に開催した「大麻等の薬物対策のあり方検討会(第5回)」の配布資料の中で明らかにした。

上場企業子会社 CBD参入へ 昭和大と共同研究 中国企業と契約も
 スキンケア化粧品の開発・販売などアンチエイジング事業を手掛ける東証マザーズ上場企業、プレミアアンチエイジングの連結子会社、プレミア・ウェルネスサイエンス(東京都港区)が、CBDを始めとするカンナビノイド化合物を用いた、機能性素材の開発および製品への実用化に向けた取り組みを進めている。国内CBD市場への参入を図る考えだ。

 プレミア・ウェルネスサイエンスは4月1日、昭和大学との間で締結した、カンナビノイドを用いた共同研究および事業化に向けた包括連携をスタート。同社と同大の発表によると、研究代表者には、大麻草に含まれるカンナビノイドの研究で知られる同大薬学部の佐藤均教授(基礎医療薬学講座薬物動態学部門)が就いた。

 共同研究を通じ、カンナビノイドを用いた「最終製品の用途・目的・剤型などを定義し、実用化に向けた研究開発を推進」するなどとしている。研究期間は、来年3月末までを予定。

 同社はまた、中国の企業が製造するカンナビノイド化合物の日本国内向け販売について日本総代理店契約を締結したと、4月22日に発表した。

 発表によると、同契約は、中国のHeilonjiangZhongsheng Biotechnology社との間で締結したもの。

 同社製のカンナビノイド化合物を安定的に調達するとともに、自社製品への実用化や第三者への原材料販売などを進めたい考えを示している。同社によると、Zhongsheng社は、産業用ヘンプの栽培・収穫、加工・抽出、製品化・販売などを一手に手掛けている。

 プレミア・ウェルネスサイエンスは、プレミアアンチエイジングの100%子会社として昨年12月に設立。ホームページによると、事業内容は「健康、美容、アンチエイジング、スポーツに関する研究開発・製品開発、これらの受託コンサルティング業務」。

 CBDなどカンナビノイド化合物を巡っては、これまでに「グローバルリサーチを重ね、製品実用化と流通に必要な事業ガイドラインを策定」「各国研究機関との有識者ネットワークを構築」などを行いながら、参入準備を進めていたという。

 同社によると、カンナビノイド化合物には少なくとも114種類が存在することが現在までに分かっている。その中の1つがCBD。

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