産業協議会 健康維持増進の範囲 拡大目指す (2021.5.27)


検討チームを新設 昨年来議論
 機能性表示食品制度の運用改善を巡る健康食品産業協議会(橋本正史会長)の取り組みを、同協議会の活動基盤である分科会のトップらが解説するセミナーが5月13日、横浜市内であった。機能性表示食品としてヘルスクレームが可能な健康維持増進の範囲拡大に向けた検討を進めていることなどを伝えた。

 消費者からのニーズは高い一方で、届け出ても差し戻される機能領域が複数存在する。背景には、健康維持増進の「範囲外」と見なされてしまうことがあるが、そもそも健康維持増進の定義は必ずしも明確ではない。

 そのため協議会では、機能性表示食品として届出可能な機能領域は順次拡大されているものの、あいまいさが残る健康維持増進の範囲に関する課題を解消し、現時点では届出が難しい領域においても、機能性について一定の科学的根拠を有す食品に関しては、届出が可能となる道筋を整えたい考えだ。

 その実現のために、協議会内に「健康の維持増進範囲拡大検討チーム」を新設。昨年来、精力的に検討を進めているという。今後、内閣府の規制改革ホットラインに「機能性表示食品制度の適応範囲の定期的な見直し」を提言することも計画している。

 また、昨年4月に消費者庁が運用を始めた機能性表示食品に関する「事後チェック指針」に絡み、表示する機能性の科学的根拠に関する届出内容を事業者がチェックできるようにする目的で、機能性表示食品に関係する各業界団体や同庁など協力の下、「エビデンスレビュー評価チェックリスト」の作成を進めていることも明らかにした。

 同リストの中身は、現在までにほぼ固まっているといい、同庁との間で最終的な協議を行った上で広く公開する予定。現在、業界全体で共用できる方法を検討している。

「機能性」公正競争規約の進捗は?
 このセミナーは、先ごろ横浜市内で開催された展示会「ifia/HFD2021」(食品化学新聞社主催)内で行われたもの。健康食品産業協議会の事務局長を始め、機能性表示食品に関するガイドライン分科会長、公正競争規約分科会長が講演した。

 日本通信販売協会や日本抗加齢協会なども含め、業界横断で作成作業を進めている機能性表示食品の公正競争規約については、現在までに「案」がおおよそのところまとまりつつある段階だという。

 ただ、案を取りまとめた後、有識者らの意見を幅広く聞き、必要に応じて修正を行うなどの作業を求められることになる。また、機能性表示食品の場合は、容器包装や広告など表示に関する規約以外に、各表示に直結する機能性に関するエビデンスについても規約が求められる。そのため、規約の認定申請に至るまでにはまだ時間を要する見通しだ。

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