情報収集体制の整備求める 機能性表示検 消費者意向調査も公表(2014.4.10)


 消費者庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」(松澤佑次座長・大阪大学名誉教授)が4日に開催され、被害情報の収集体制と流通防止策について議論した。消費者庁は現行法令で事業者から保健所へ情報提供する健康被害情報を、消費者庁にも直接報告することを提案。現行の情報収集体制も強化し、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)では製品銘柄の情報も収集することや、消費者庁の情報分析体制の強化を提案した。

 事業者には消費者相談の記録と保存や社内での共有体制の整備のほか、緊急時対応の体制整備などを求める。さらに商品パッケージに消費者対応部署の連絡先の記載や、体調に異変を感じた際には速やかに摂取を中止し、医師に相談する旨の表示を行うよう提案。いずれも委員から異論はなく、同庁案が支持された。

 このほか、健康被害情報の解析手法等に関して、現在、厚生労働省科学研究費で研究が進められ、この結果が来春にもまとまるため、同研究結果を待ってから、具体的な方策を検討する。

 安全性確保の検討は今回で終了。次回(5月2日)は機能性の表示のあり方が議題となる見通し。

ヒト研究7割超が支持 消費者意向調査

 消費者庁が2013年度予算で実施した「新たな機能性表示制度の検討に向けた消費者意向等に関する調査事業」の結果概要が、4日の検討会に提出された。調査は制度検討の基礎資料を目的に実施されたもので、提出されたのはインターネットの消費者意向調査に関する部分。健康食品や表示に対する認識について調べてある。

 ネット調査は先月5~7日にかけて、全国の15~79の男女3416名を対象に実施。対象者を一般(20~64歳)や一般でも疾病を持つ人、高齢者や未成年、健康食品を摂取している中学生以下の子どもを持つ保護者、妊婦などに分けて比較もしている。

 最近1年間に健康食品を摂取したことがある人は44%。一般や未成年は3割前半と低かったが、疾病を持つ人や妊婦では5割前後と高かった。また中学生以下の子どもの摂取率は6.0%だった。

 過去1年間にいわゆる「健康食品」を摂取した者(957名)で、「毎日摂取」は37%。高齢者は55%で、週3~6回を合わせると7割近くに達し、日常的に摂取している人が多かった。

 また、いわゆる「健康食品」のイメージに関する質問では、摂取により病気が治ると思うとの回答が全体で1割だったが、未成年者と保護者は2割と過度に期待する傾向にあった。いわゆる「健康食品」も国が認可していると思っている人も、未成年者と保護者で高く誤認率が高かった。ほかにも複数の種類を同時接種すると効果が高くなると思う人も未成年者は高かった。

 表示に関する質問では、いわゆる「健康食品」に機能表示ができないことを認識しているのは3割。また機能表示する際の必要な表示は、試験などで安全性が確かめられていることの表示を求める割合が8割に達したほか、試験などで効果が確かめられてること、特定保健用食品、栄養機能食品との区別がつけられる表示を求める割合はいずれも7割を超えた。機能性の表示方法(複数回答)は「表面に表示」が5割を超えたほか、4割近くが「どの製品も決まった場所」を挙げた。

 機能性表示に最低限必要な試験は「ヒト介入試験」や「ヒト観察研究」が必要との回答がサプリメント形状で7割超、菓子などの加工食品、生鮮食品でも7割弱に達し、ヒト研究を求めてる割合が非常に高かった。

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