照射疑いで回収指導 米国産大麦若葉に逆風(2014.4.24)


 米国から輸入された大麦若葉エキス末が照射されているなどとして反放射線照射食品団体が食品衛生法違反を訴えていた問題が表面化した。東京・港区は16日、同法違反の事実が未確定のまま回収を指導。これを朝日新聞やNHKが報じたことで市場は対応に追われている。

 訴えていた団体は、主婦連合会など消費者団体幹部が代表世話人を務め、有機野菜など食材宅配会社、大地を守る会に事務局を置く「照射食品反対連絡会」。

 連絡会は、青汁原料販売会社ファーストフルーツ㈱社長から持ち込まれた民間分析会社による分析結果を受け、先月13日、厚生労働大臣に原料の回収、配合商品名の公表、立ち入り調査などを要求。また、今月8日には、同省輸入食品安全対策室担当者らを呼び、要求に対する進捗を公開の場で問う集会を衆議院第二議員会館で開催。集会には超党派議員連盟「原発ゼロの会」事務局長を務める阿部知子衆議院議員も参加していた。

 港区が回収を指導したのは、昨年2月から今年3月までに輸入された米ユタ州リクアドライ社製とみられる大麦若葉エキス末合計19.8㌧で、同区のグリーンバイオアクティブ㈱が輸入したもの。区では現在、照射有無の分析結果を待っている状態。一方、みなと保健所生活衛生課によれば、回収指導分に関し、製造元が照射していたことの確認がグリーン社で取れているという。

 同課によると、当該原料は都区内、横浜市、静岡市、大阪市、富山県など9社に販売された。関係自治体も流通実態の把握を進めており、グリーン社から間接的に購入していた先でも保健所から問合せを受けている。また、連絡会から間接的指摘を受けていた最終商品販売会社は、販売自粛を自主的に選択し、照射有無の分析を検査機関に依頼。ほかに、代替原料を探す動きが進むなど、市場が慌ただしくなっている。

 一方、グリーン社が米国から輸入していた大麦若葉エキス末には有機品と非有機品の2種類あった。同課によると、「どういう振り分けだったか現在確認中だが、今回の(指導)範囲は一般流通品(=非有機品)のなかで照射が確認できたもの」だという。市場関係者からは「有機品の流通量の方が多い」と、その逆の見方の両方があり事実関係は取れない。同課では、「はっきりしないが、有機品はかなり以前に輸入されたとみられる」と話している。

 殺菌・滅菌目的で食品に照射することは米国など海外では広く認められている。1997年には世界保健機関が10㌔グレイ以上の高線量照射について安全宣言。一方で日本では、ジャガイモの発芽防止目的のみに使用を限定している。

 「菌の数を日本の厳しい基準に合わせるために製造元は照射したようだ」──グリーン社関係者はこう話している。

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