表示範囲「トクホと同等」 新制度で消費者庁が説明(2014.5.22)

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 消費者庁が検討している食品の新たな機能性表示制度を巡り、20日に開催された消費者委員会で同庁に対応や見解を問う場面があった。同庁の竹田秀一食品表示企画課長は、現在「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」で検討中として、具体的な制度の中身について言及は避けたが、新制度で表示できる機能性の範囲については今月2日の検討会に提案した「健康維持・増進に関する表現」が、「トクホ(特定保健用食品)と同等」であるとの見解を示した。

 消費者委員会は現在、消費者基本計画の見直しに向けた意見集約を行っており、この日の審議は、今月9日に同庁が示した同計画素案に掲げた消費者施策への対応について行政機関に聞き取りを行ったもの。いわゆる健康食品の表示については、19項目ある同計画の重点施策の一つに挙げており、法執行体制の構築や健康被害情報の収集体制確立などともに、新制度の検討も掲げてある。

 新制度に対する質問で口火を切ったのは、同委新開発食品調査部会の部会長を務める阿久澤良造委員。同氏はトクホ、栄養機能食品など、現行法制度下でも機能性表示が可能な仕組みがあり、まずはこれら制度が国民の健康に寄与したか検証が必要と指摘したほか、新制度が消費者の商品選択に資する制度になるとの消費者庁の説明に対し「ものさしが3つになると複雑になる」と語り、消費者の適正利用につながらないのではと疑問を投げかけた。竹田課長は現行制度の健康効果の分析は困難とする一方、適正利用については「消費者の誤認を招かないよう、メーカー、業界団体にも努力していただき、普及に力を入れる」と引き取った。

 一方、岩田喜美枝委員からはトクホの表示との違いを問われ、竹田課長は、新制度は国の認証ではなく企業の自己認証のかたちになるとしつつ、「基本的には保健機能を表示する。トクホと同等の表現ができることを(検討会に)提案している」と回答した。岩田委員は「トクホは長い年月と億単位の費用をかけてエビデンスを取得しているのに表示が不自由。新制度はトクホと同等の表示でしかも企業が自由に表示できるのは、逆ではないか」と、さらに問い質したが「トクホも申請企業が自由に原案を申請してくるが、消費者委員会の審議を通じて削除、訂正等を求められて定型的な表現になっている」とかわした。

 農林水産物の機能性表示についても質問が及び、表示責任者については「通常はJAブランドで販売されるケースが多い」として、各地の農協などが表示責任者になる可能性に言及。実際に活用が想定される農林水産物については、「エビデンスの取り方は品種に大きく依存する。農林水産省で検討が行われ、いくつかはかなりエビデンスの収集をしており、まずはその辺りが制度に乗ってくると思う」と述べ、機能性研究が進んでいる品種ごとに制度活用される可能性を指摘した。

【写真は、20日に開催された消費者委員会】

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