カネカが原料販売 フコキサンチンで動き (2014.6.12)


 海藻に含まれるカロテノイドの一種で脂肪燃焼を助ける働きなどが報告されているフコキサンチンを巡る研究開発の動きが再び活発になってきた。最終製品化に当たり課題視する声もあった安定性を高める技術が新たに開発されたり、内臓脂肪型肥満に対する有効性を検証するヒト臨床試験が実施されたりしている。
 海藻アカモクを原材料にしたフコキサンチン含有抽出物を開発していたカネカは3日、室温で2年間の安定性を期待できるアカモク由来フコキサンチンの安定化粉末の生産技術確立に成功したと発表した。速やかに体内に吸収されることも確認したという。

 同社では、フコキサンチンの脂肪燃焼作用を明らかにした宮下和夫・北海道大学大学院教授と共同研究を進めていた。文部科学省の地域イノベーション戦略支援プログラム「函館マリンバイオクラスター」の中で原料製品化などを検討してきたもので、安定化の目途が立ったことから2014年度中に原料販売を始める計画を立てている。

 一方、フコキサンチンの摂取による内臓脂肪型肥満への有用性をヒト臨床試験で確かめたのはピップやワダカルシウム製薬などを束ねるフジモトHDで、先ごろ札幌市で開催された日本栄養・食糧学会大会で研究発表を行った。

 発表要旨によると、試験では40歳以上男性24名の被験者にフコキサンチン3㍉㌘配合カプセルを1日1回夕食後に28日間摂取してもらったところ、内臓脂肪面積に有意な減少が見られたという。どのようなフコキサンチンを試験に使用したのかは明らかにされていない。

 脂肪には褐色脂肪と白色脂肪の2つがある。フコキサンチンは、従来は褐色脂肪のみに存在すると考えられていた脂肪を熱に変換するUCP1を、白色脂肪で発現させるという珍しい作用を持つことが宮下教授らの研究で明らかにされている。

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