クリル 中国企業も参入へ 欧米市場狙い 日本も視野(2014.6.12)


 クリルオイル原料市場に中国企業が参入することが分かった。中国・遼寧省の大連海洋漁業集団公司は5月22日、都内で開催され、約260名が参集した。第1回「クリルオイル研究会」の中で、年間100㌧のクリルオイルを供給できる体制を整えつつあると説明した。今後、欧米やアジア・オセアニア市場に販売していく計画。日本市場での販売も視野に入れている。

 大連海洋は2009年からオキアミ事業を開始していた。南極オキアミ漁獲船を計3隻保有しており、うち1隻は、日本水産が12年まで保有していた「福栄丸」だという。第1回研究会で講演した大連海洋テクノロジーセンターのジャン・ゴウ氏によれば、同社による13年シーズンの南極オキアミ漁獲量は2万6000㌧(10年は1100㌧)にのぼり、原材料調達からクリルオイルなど原料製品化まで自社で行うと話している。

 今後同社が販売していくクリルオイルは2製品。リン脂質含有量別に40%品と45%品の2つを用意しており、40%品について計画ベースでは年間80㌧の供給能力があるとした。原料販売のほかに、キャンディ、ドリンク、カプセルなどの形態の最終製品としても販売していく計画だ。

 大連海洋マーケティングマネージャーの話によると、同社が製造するクリルオイルの販売実績は中国国内でもまだこれから。というのも、機能性を表示できる「保健食品」としての許可が下りていないためだ。クリルオイルで適用できる可能性のある保健機能としては、血中脂質降下、記憶力改善、アルコール性肝障害低減の3機能が挙げられるという。

 一方、中国国内で食経験がない食品原料を販売するために登録される必要のある「新食品原料(旧・新資源食品)」としては今年1月に許可されている。また、それと同時に、イスラエルのエンザイモテックや米国のネプチューンなど、海外クリルオイルメーカー4社が製造販売するクリルオイルについても新食品原料としてそれぞれ許可されたという。

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