黒ショウガ 知見拡充続く 配合製品上市を後押し(2014.6.26)


 ダイエットサプリメントに黒ショウガ(=ブラックジンジャー、黒ウコン)を配合するケースが増え始めた。20日から売り出されたファンケルヘルスサイエンスの「大人のカロリミット」のほかにも、ダイエットサプリを多くラインナップするネイチャーラボのブランド「スベルティ」に、今春から配合商品が追加されている。こうした末端市場の動きをより活発化させようと、原料メーカーなどが機能性研究に一層力を入れている。

血管機能にも有効性示す

 黒ウコンエキス「SIRTMAX(サートマックス)」(登録商標)を製造販売する常磐植物化学研究所は、大学研究機関などと共同でヒト臨床試験を行った。

 長寿遺伝子とも呼ばれる「SIRT1」の活性作用や、抗糖化作用を持つことが確認されていた同素材で臨床試験が行われたのは今回が初。試験では、35歳~70歳までの健常者男女27名を被験者にしたプラセボ対照二重盲検交差試験を実施した。その結果、糖や脂質代謝、血管機能に対する有効性が確認できたほか、体重増加抑制作用も認められた。

 摂取量は1日当たり100㍉㌘、期間はサートマックスとプラセボをそれぞれ7週間。試験の結果、サートマックス摂取群は、血糖値と中性脂肪量について摂取開始前後の比較で有意に改善し、体重についても同様に有意な減少が認められた。内臓脂肪が減少したかはデータ測定していないため不明だが、腹囲について減少傾向が見られた。

 同社ではサートマックスを、アンチエイジング素材として普及させたい考えだ。そのため、今回のヒト臨床試験でも血管機能に対する有効性を評価した。具体的には、最近開発された血管弾性の指標である心臓足首血管指数(CAVI)を測定し、血糖値が軽度に高い被験者について改善傾向を確認。この効果は、SIRT1活性作用や抗糖化作用によるものだと考えられるという。

褐色脂肪組織増やす可能性

 黒ショウガの抗肥満作用に関し、褐色脂肪組織に与える影響を確かめる動きもある。脂肪を燃焼させ熱産生する役割を持つ組織だが、加齢とともに減少していくといわれる。黒ショウガを継続摂取すると増加する可能性のあることが示唆されている。

 特定の辛味成分でも報告されている褐色脂肪組織を増やす働きを黒ショウガで見出したのは東洋新薬。武蔵野大学の油田正樹教授、嶋田務客員研究員と共同で確認し、先ごろ開催された日本栄養・食糧学会大会で発表した。細胞試験で前駆褐色脂肪組織の分化促進作用を確認するとともに、動物試験で脂肪組織の褐色脂肪化を明らかにできたという。

 この研究に先立ち同社では、ヒト試験でエネルギー消費量増加作用を確認していた。その作用メカニズムの一つとして、褐色脂肪細胞を刺激し、熱産生を高めている可能性のあることを確かめている。

 黒ショウガは、ショウガ科バンウコン属植物の一種。機能性成分として「ポリメトキシフラボン」が注目されている。

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