構造機能、薬事法焦点に 厚労省が考え示す意向(2014.7.10)

機能性表示検

 消費者庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」(松澤佑次座長・大阪大学名誉教授)の第7回会合が6月26日に開催された。焦点の一つである身体の部位などの構造機能に関する表示の範囲については、次回(7月18日)会合で厚生労働省と消費者庁が協議したうえで考え方を示すことにし、決着を次回に持ち越した。また、国の関与では販売前の届出制の導入について多くの委員が賛同した。検討会は次回会合で報告書案の取りまとめを行い、いよいよ大詰めを迎える。

見解変わるか

 身体の構造機能に影響を及ぼすものは、薬事法2条で規定する医薬品に該当するため、例外を除き食品では表示が認められていない。検討中の機能性表示制度は現行法の改正を伴わない範囲で検討が進められていることもあり、前回会合では同庁から「医と食の境界は変わらない。食品で表示できる限界は特定保健用食品(トクホ)まで」として、身体の構造や機能に関する表示は一部トクホで認められているもの以外は難しいとの見解が示されていた。

 この点について厚労省などの考え方が示されることになったことで、前回から一歩踏み込むかたちとなったことは大きく、産業界などからは歓迎の声も聞かれる。この日オブザーバーとして参加した厚労省は、健康な人の健康の維持増進を目的に、適切に実施された試験結果に基づく表示であれば、「たとえ身体の構造機能に関係する表示がなされても、直ちに薬事法で言う身体の構造機能に影響を及ぼすものとは言えないのではないかと感じるところではある」と、柔軟な判断を示すことに含みを持たせた。ただ、明確にどこまでを範囲とするかは予断を許さない。

範囲拡大求めるが

 また、同じく焦点の一つとなっている、対象成分については、直接的または間接的に定量可能な成分とする同庁案を多くの委員が支持した。品質確保のうえでは機能性を持つ成分(保健機能成分)が一定量含まれている必要があるという同庁の考えに賛同が集まったかたちとなる。ただ、産業界代表の宮島和美委員(日本通信販売協会理事)は、同庁案のまま制度化された場合、「我々が想定する制度対象外成分は4000億円程度になる。1兆円市場の4割というのは大きすぎる」と語り、対象成分の範囲拡大を再度求めた。関口洋一委員(健康食品産業協議会会長)も、品質の担保はGMP(適正製造規範)に基づく製造管理で可能とし、前回同様、特異的成分の定量が困難なノコギリヤシなどを含めるよう譲らなかった。

 併せて、栄養政策上の観点から食事摂取基準で基準が示されているビタミンやミネラル類などの栄養素を対象外にすることについても、産業側委員は反発したが多くの委員は賛同した。これについては今後の基準改定でDHAやEPAなどに基準が設けられた場合の対応にも質問が及び、同庁は仮定としつつも「何らかの経過措置が必要だが、新制度の対象から外す」と回答、食事摂取基準は聖域といわんばかりに突っぱねた。

 一方で、前回会合で示した対象成分の作用機序と作用動態の実証については、作用動態確認は難しいとの意見を受け入れて削除、実証についても試験結果に基づく考察に改めて表現を緩めた。

届出制を導入

 また、国の関与については、販売前の届出制の導入や、根拠法令を食品表示法とし、制度規定を食品表示基準の中に示すといった消費者庁案がほぼ支持された。ただ、製品への表示を義務付ける、国の評価を受けたものではない旨のいわゆる免責表示の文言を巡っては「国で検証はしていないが登録しているというポジティブな文言が望ましい」(児玉浩子委員・帝京平成大学教授)との意見が複数の委員から出た。また、他の健康食品と見分けられるマーク表示の可能性についても委員から発言があり、同庁は「(登録時の)受理番号の記載とかを検討する」(竹田食品表示企画課長)考えを伝えた。

 表示ではこのほか、未成年者や妊産婦、授乳婦を対象にしていない旨の表示を、生鮮食品は除外することにした。一部委員は豆腐や納豆ヨーグルトなどの加工食品の一部も生鮮食品に類する食品として除外するよう求めたが、他の委員からは慎重な意見が多かった。

 同検討会は次回会合で報告書案を検討し、予定された日程を全て終える。なお、同会終了後は、同庁が食品表示基準へ盛り込む制度規定案を策定、パブリックコメント手続きを経て、今秋にも消費者委員会への諮問、答申を経て正式に決まる。

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