新制度「中小には厳しい」 本紙アンケートから(2014.8.7)


 健康食品受託事業者は新たな機能性表示制度をどのように受け止めているのか。健康産業流通新聞7月24日付号掲載の「健康食品受託事業者特集」で実施した受託事業者アンケートから探ってみた。

「期待しない」が増加

 2014年上半期に生産量の良かった素材のほか、機能性表示制度に「期待するか」などを受託事業者に尋ねたアンケートでは、計37社から回答得た。

 既報の通り、アンケートは消費者庁が報告書を公表する前に行ったものだが、「期待する」が54%(20社)だったのに対し、「期待しない」が21%(8社)と、期待するが過半数を超える結果になった。ただ、1年前に実施した同様のアンケートと比べると、「期待しない」の割合が2倍近く増加した。

 「期待しない」と考える事業者が増えた背景には、新制度の方向性について、中小企業が対応するには困難の多いことが検討会議論の過程で浮き彫りになっていたことがありそうだ。

 アンケートでは期待しない理由として、「表示するためのハードルが高い」「大企業などが得をする制度になりそう」「費用負担が大きく、中小企業には厳しい内容」「企業責任以外はトクホに近く、中小企業は使いづらい」「従来の日本的思考から変わりそうにない。中小企業にメリットが出そうにはない」──といった意見が挙がった。

 こうした意見は、「期待する」と答えた事業者も発している。

 「厳しい内容にされるのであれば、中小企業では実施できない可能性がある」。中堅事業者では「機能性表示の課題点や考え」の設問に対してこう回答。一方、大手事業者でも、「トクホレベルの臨床データ取得の必要性について不安がある」として、表示の根拠や安全性情報を得るため、最終製品を用いた臨床試験にどう対応していくかが課題だと指摘する。

 また、新制度に「期待する」としつつも、「受託加工業として、手間が増えることを懸念」するという率直な意見もあげられた。「機能性表示できる商品を企画段階から丸投げ」される可能性も考えられるからだという。その可能性は多いにあり得るといえるが、対応していくには専門知識を持つ人材の確保などが求められる。これまで製造業に特化していた先は今後、苦しい選択を迫られることにありそうだ。

態度保留の先まだ多く

 他方、「期待する」の理由では、「市場拡大につながる」とする意見が目立った。また、「正しい情報を伝達する手段」を新たに持てるとして、消費者メリットにつながることを歓迎する声も複数あがった。だからこそ「課題評価や誇大広告にならないような自制心」が業界には求められるという意見も見られた。

 一方で、新制度への期待について、「わからない」とする先もまだまだ多い。1年前の調査時と比べると6ポイント減少したものの、「最終の状況を見て判断したい」などとして、今回も19%(7社)がそう回答した。また、具体的な機能性表示ガイドラインが必要だとする声も複数挙げられており、しばらくは様子見したい考えが窺われる。

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