栄養機能食品に3成分追加へ 消費者庁が改正案(2014.10.23)

HP用栄養機能食品追加成分 2-1

 消費者庁は、栄養機能食品制度を見直し、新たにn‐3系脂肪酸、ビタミンK、カリウムの3成分を追加する案をまとめ、消費者委員会に諮問した。17日には同見直しを含む食品表示基準案のパブリックコメント募集も開始した。このパブコメの結果を踏まえ12月に開催する同委の食品表示部会で審議して決まる見通し。同庁は食品の機能性表示制度のスタートと同時期の来春の施行を目指す。

 栄養機能食品に新規追加する成分候補はn‐3系脂肪酸(皮膚の健康維持)、ビタミンK(正常な血圧凝固能を維持する)、カリウム(正常な血圧を保つ)の3成分。いずれも生命活動に不可欠かつ日常の食生活では摂取量が不足しがちな成分であり、追加が決まれば2004年4月に亜鉛、銅、マグネシウムが追加されて以来となる。また、n‐3系脂肪酸が追加されれば、現在対象となっているビタミン(現行12成分)、ミネラル(同5成分)以外で初の成分となる。

 栄養機能食品の対象成分追加は昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画に盛り込まれ、今年度中に措置するよう検討が求められていた。

 同庁は成分追加にあたり、成分含有量の基準となる栄養素等表示基準値の変更や、考え方などについても改めて整理。そのうえで追加成分の具体的検討を行い①日本人の食事摂取基準で目安量などの基準があるか②公的な統計で国民の平均摂取量が把握できているか③過剰摂取の懸念がないか④食生活を補完する目的で摂取することにより、健康の維持・増進に係る特定の栄養機能が期待できるか――といった観点でふるいにかけ、最終的に3成分に絞った。なお、検討当初はマンガンやセレンなどのミネラル、n‐6系脂肪酸や食物繊維も挙げていたことを、15日開催の同委食品表示部会で説明した。

 ただ、このうちカリウムについては過剰摂取のリスク回避を目的に、錠剤、カプセルなどの食品を対象外にすることをガイドラインで示すことにする。栄養機能食品で形状などを規制するのは初めて。

 一方、対象食品の範囲も見直し、加工食品に加え生鮮食品全般を含めることにする。現行は生鮮のうち鶏卵のみを対象にしているが、食品の機能性表示制度により、生鮮を含めた食品の機能性表示が可能になることから、栄養機能食品もこれに合わせることにした。これにより包装された生鮮食品に栄養機能の表示が可能となる。カリウムの機能を表示したバナナなどが店頭に並ぶことになりそうだ。ただし、生鮮食品の場合は調理などによって成分量が変動する可能性があるため、基準の上下限値の範囲で成分が摂れるよう、適切な調理法を表示することも新たに定める。

 なお、n‐3系脂肪酸の食品の機能性表示制度との関係について、同庁食品表示企画課の塩澤信良食品表示調査官は、n‐3系脂肪酸は機能性表示制度の対象外とするが、DHAやEPAといった個別の脂肪酸は対象になるとの見解を示した。ビタミン、ミネラルは機能性表示制度の対象外とする方針を決めている。

栄養素表示基準値案も

 栄養機能食品の見直しと併せて栄養素等表示基準値の改正案についてもまとめ、15日の同委食品表示部会に提案した。熱量、たんぱく質、脂質などを除く算定指標を、「日本人の食事摂取基準」にある目標量(DG)または推奨量(RDA)を原則に算出するよう改めた。

 これにより、ナトリウムは2900㍉㌘(現行は3500㍉㌘)に、カルシウムは680㍉㌘(同700㍉㌘)などに下方修正される。一方で、エネルギーは引き続き推定エネルギー必要量を用いて算出したが、2200㌔㌍(同2100㌔㌍)に上方修正する。このほか、新たに飽和脂肪酸(16㌘)、n‐3系脂肪酸(2.0㌘)、n‐6系脂肪酸(9.0㌘)、食物繊維(19㌘)を追加する。

 同基準値は1日あたりの栄養素等の必要量を、食事摂取基準を基に性、年齢階級ごとの人口から加重平均して算出したもの。食品表示では製品に含まれる栄養素等が同基準値のどれくらいに相当するかパーセント表示する際の基準となるほか、栄養素等の強化や低減した旨を表示する栄養強調表示の基準値となる。

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