引合い増えるガラクトオリゴ糖 育児粉乳で海外需要増(2013.9.9)
「おなかの調子を整える」や「カルシウムの吸収を促進する」などの健康強調表示の関与成分であるオリゴ糖。既に一般にもよく知られた素材で、原料メーカーの多くは「安定した需要がある」と話す。その中で、牛乳中に含まれる乳糖由来のガラクトオリゴ糖は海外からの引き合いが大きく増えており、メーカーも積極的な海外進出を図っている。
日新カップのガラクトオリゴ糖「カップオリゴ」は、対前年供給量が海外輸出だけで倍増している。欧州では、ガラクトオリゴ糖は育児粉乳に整腸素材として積極的に添加されている模様で、同社によれば「ダノン社やアボット・ニュートリション社などの育児粉乳には全て添加されている」という。このように欧州では需要増加の基盤が築かれていたが、さらに中国で2008年に育児粉乳へのメラミン混入が発覚したことにより、「それ以降、中国人が欧州や米国製の育児粉乳を買い漁ったため、世界中で需要に供給が追いつかず、当社にも引き合いが殺到している」と同社担当者は話す。
この海外情勢の中、ヤクルト薬品工業のガラクトオリゴ糖はハラル認証を受けたほか、欧州で施行されているノーベルフーズ制度において審査を受け、流通許可を得た。同品は既にGRAS、コーシャの認証も受けており、同社では今後、世界各国への積極的な販売展開を推し進めるとしている。
一方、国内で需要を伸ばしているオリゴ糖もあり、塩水港精糖の「オリゴのおかげ」は、市販品の対前年比売上がシリーズ全体で約5%増加。さらに今後の販路拡大を図り、乳幼児を持ち健康意識が高い母親を対象にしたウェブサイトを開設し、同オリゴを使ったレシピを紹介するなど周知活動を進めている。