ノコギリヤシエキス、価格急騰1.5倍以上に(2015.1.15)


 排尿サポート機能性食品素材を代表するノコギリヤシ果実エキスの価格が高騰している。長雨など天候不順が要因だといわれる収穫量急落を受けて果実価格が大幅に上昇したためだ。急速に進行した円安も相まって、日本国内でのエキス販売価格は従来の1.5~2倍に高まっている。

 ノコギリヤシ果実エキス販売事業者は昨年11月ごろから値上げアナウンスを開始していた。一部では既に新価格での販売を始めている。ノコギリヤシ果実エキスの市場中心価格はこれまでキロ当たり2万~2万5000円弱だったと見られる。

 ノコギリヤシ果実の世界的主要産地は米国南部フロリダ。収穫は年に1回、7月~9月の夏季に行われる。これまでもハリケーンの影響などを受けて果実の収穫量と価格は変動しやすい状況にあったが、「(昨夏収穫された)果実の取引価格は異常」(エキス輸入販売事業者)。前季と比べて2倍近くまで高騰したという。

 複数のエキス輸入販売事業者の話によると、ノコギリヤシ果実は3季連続の不作と価格上昇に見舞われた。これを受けエキスメーカーは果実購入量を慎重に見極めていたこともあり、「(一昨年前収穫果実について)在庫はほとんどない」。このためエキス輸入販売事業者の一部では、昨年12月頃から新果実を使ったエキスについて新価格での販売を始めている。

 原料価格が大幅に引き上げられるが、最終製品への価格転嫁は厳しそうだ。欧州での医薬品としてのエビデンスを根拠に、1日当たり摂取量を320㍉㌘で設計している製品が多く、もともと原料コストが「安くはない」という事情もある。

 一方で、代替素材は見当たらない。配合量を見直すとしても、エビデンスに基づく機能性の担保をどうするかが課題として残る。

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