トクホ申請飲料に厳しい判断 食品安全委員会(2015.2.5)
エノキタケ抽出物を含み「体脂肪が気になる方や肥満気味の方に適する」旨の特定保健用食品に係る表示許可申請がされた清涼飲料水「蹴脂茶」について、食品安全委員会の新開発食品専門調査会は「安全性を評価することはできない」との報告書案をまとめ、3日の同委に報告した。
報告によると、提出された臨床試験データでは有害事象は認められない一方、申請者が説明する作用機序について「十分なデータが示されていない」と判断。仮に説明通りならその作用による健康影響を評価する必要があるとし、「提出された資料からは安全性が確認できない」とみなした。
「蹴脂茶」の作用機序について申請者は、in vitro試験で確認した、脂肪細胞に対するβ3アドレナリン受容体刺激作用を説明している。しかし調査会は「生体内において実際にその機序で作用していると判断するには十分なデータが示されてない」などと指摘。そのため、作用機序及び安全性について科学的に適切な根拠が示されない限り、「安全性の評価は行えない」とした。今回の審議結果のパブリックコメントが4日から来月5日まで行われる。「蹴脂茶」の申請者は㈱リコム。
◇
「蹴脂茶」の審査開始は5年前の2010年。作用機序を巡っては、消費者委員会の評価調査会で複数回にわたり審議されていた。それを終えて食安委での審議開始は13年12月。以来、昨年11月まで計4回の審議が行われた。今回の調査会判断は、作用機序に対する疑問を盾に、過剰摂取試験を含めた臨床試験で有害事象は認められていないという科学的根拠を無視するものといえそうだ。