健康食品JAS規格化は「選択肢の一つ」 農水省(2015.2.5)

ガイドライン案

 農林水産省の補助事業で行われた「健康食品の情報開示自主ガイドライン(案)」の概要が明らかになった。事業実施主体の食品トレーサビリティシステム標準化推進協議会が5日、都内でセミナーを開いて概要を説明した。特定保健用食品や新設される機能性表示食品など保健機能食品を除く加工食品を対象に、有用成分やその含有量など消費者が欲しい情報、品質・衛生管理の方法、消費者対応の連絡先を容器包装などに表示するのが大きな柱。機能性表示は考慮に入れていない。

 ただ、細部は詰め切れておらずまだ生煮えであることは否めない。会場からも、機能を表示せずに何をもって有用成分かと戸惑う声が上がったほか、安全性の基準については「残念ながらこれから」と手厳しい意見も。検討メンバーを代表して説明した中嶋茂氏(日本予防医学会副理事長)は、業界や消費者の意見を踏まえたうえで「3月末までにはかたちにする」と語り、現行案が不十分であることを認めた。

 さて、同ガイドラインを巡っては、農水省の補助事業であること、健康食品のJAS規格化を匂わせた一部の報道、機能性表示食品制度創設直前というタイミングから、会場には200名を超す関係者らが集まった。ただ、そのJAS規格について当の農水省は「(ガイドラインは)JAS規格のかなり手前。将来的な選択肢の一つ」(勝野美江食料産業局食品製造卸売課課長補佐)と、可能性に言及しつつもガイドライン即JAS規格化は否定。この面でも肩透かしを食らった格好だ。

 保健機能食品の土俵に上がらない、いわゆる健康食品の表示をどう考えるかというアプローチは必要で、同ガイドラインの趣旨は理解できる。だが、JAS化や何らかの認証という話は、そもそも業界から要望が出るべきものであり、押し付けられるものではない。

【写真は農水省本館講堂で行われたセミナーの様子(4日、東京・千代田区)】

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