論文1報、「ダメじゃない」 森下氏が意訳(2015.2.26)
消費者庁食品表示企画課の塩澤信良氏らが登壇した23日の大阪商工会議所など主催「食品の新たな機能性表示制度セミナー」では、参加者から事前に寄せられた質問に塩澤氏が答える形式のパネルディスカッションも行われ、事実上の質疑応答の場となった。
「システマティックレビュー(SR)において査読付き臨床論文が1報しか検索できなかった場合、それを機能性の科学的根拠として良いのか」という質問に対して塩澤氏は、「ダメとは言えない」と回答。これに対して司会を務めた規制改革会議委員の森下竜一氏は、「簡単に言うと(1報しかなくても)いいってことですよね」と意訳した。
「検討会報告書でも1報もないのはダメだとしているが、それ以上は言及していない」と塩澤氏は言う。ただ、それが1報しかない場合のデメリットについてもこう語った。その論文を否定するような論文が新たに出てきた場合に「その機能性表示を出来なくなる可能性がある」
逆に、SRの対象から外して良いのかどうかを尋ねる質問もあった。利用が原則認められない病者を被験者とし、かつ機能性を否定するような論文についてである。
塩澤調査官はやや悩みつつ、「安全性について考えたい場合、疾病の人への影響を見たりする上ではあるのかも知れないが、機能性の実証では必ずしも必要ではないと考えている」と回答。機能性表示食品の対象は境界域の人までであり、そうした論文をSRの対象とする必要はない──これが回答の主旨だと考えられる。