日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方を検討している厚生労働省の検討会は21日、日本人の食文化や食の領域について議論した。前回に引き続き構成員がプレゼンテーションし、その後、意見交換を行って論点などを整理した。
このうち伏木亨構成員(京都大学大学院教授)は、日本人の食の嗜好性について解説。日本人の食の嗜好性は以前と比較して大きく変わっていないと語り、その象徴として、食材や料理の多様性と、味のベースとなるダシの文化を挙げた。特にダシは「食の過剰な欧米化を止める役割を果たした」とし、子どものころからダシや伝統料理のおいしさを教える必要があるなどと語った。
同氏はまた、1970年代に米国上院が食事目標を政府に提言した、いわゆるマクガバン報告を例に挙げ、「非常に大事な提言だが全然実行されていない」と語り、国民の食嗜好から大きく外れる目標設定には、実行性確保の観点から懐疑的な見方を示した。
原田信男構成員(国士舘大学教授)も、料理は文化であり、何をどのように調理して食べるか、記憶から消し去ることはできないと指摘。また、共食は人間が生み出した文化であり、共食によって、どのように食べるかなどの食事作法が重視されるようになったとも語った。