菅義偉官房長官は21日午後の会見で、景品表示法に基づく不当表示などの調査権、措置命令権の都道府県への付与を検討し、来年度の通常国会に改正法案を提出する意向を表明した。相次ぐ食材の表示偽装問題を受けて、自民党などから執行や監視体制の強化が求められたことに応じたもので、同法を所管する消費者庁も都道府県との関係会議を前倒しで開催し理解を求めていく方針。
景表法の措置命令は、同法で禁じる優良誤認や有利誤認といった不当表示を行った事業者などに対して表示の差止や再発防止を命じるもので、現行では同庁のみが行うことができる。措置命令に従わなかった場合は、法人には3億円以下の罰金、事業者代表などの個人には2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる。都道府県では違反行為の取りやめなどを指示することはできる。
同庁は、8月の消費者委員会で健康食品の表示問題についての対応状況について説明した際、措置命令権の都道府県への付与について、付与に前向きな意見と業務が滞るなどとして反対する意見があり、このため、今後、都道府県全体で一致した要望が出される場合には改めて検討を進めていくと回答し、時期尚早との判断を示していた。
ただ、その後相次ぐ食材の表示偽装などが発覚。規制強化を求める声の高まりなどもあり、同庁としても執行力強化を急ぐ必要に迫られた。同法の担当課である表示対策課では、都道府県との関係ブロック会議を前倒して開催するなどして都道府県への理解を求めていく方針という。