キッセイ薬品に措置命令 消費者庁 特別用途食表示に「優良誤認」 品質管理に厳しい姿勢(2017.10.19)
消費者庁は19日、キッセイ薬品工業㈱に対して景品表示法に基づく措置命令を下し、発表した。同社が国から許可を受けて販売していた特別用途食品2品について、品質検査の管理を怠るなど、許可要件を満たさないにもかかわらず特別用途食品と表示していたのは優良誤認にあたると認定。保健機能食品の品質管理に関して厳しく対処する同庁の姿勢が改めて浮き彫りになった。
措置命令の対象となったのは、同社が昨年11月まで販売していた「げんたそうめん」、「げんたうどん」の2品、いずれも腎不全患者向けの病者用低タンパク質食品。同庁によると、同社はタンパク質の製品規格値を最大で「0.4g」上回ったまま、そうめんについては15年以上販売していた。
「製品規格値の基準を満たすための品質検査の管理が行われていなかった」と同庁は指摘している。
同社は、タンパク質含量検査自体は実施していた。ただし、社内で製品規格値の基準に関し、最大値のプラス・マイナス20%以内であれば問題ないと「誤認」。同庁は、同社がこうした誤認に気付かない「残念な状況」(同庁表示対策課)の品質管理体制のまま長年にわたり販売していたことを指し、「品質検査の管理が行われていなかった」と言っている。
同社は11日、特別用途食品として許可要件を満たしていない食品を販売していたことをお詫びする社告を日刊紙2紙に掲載した。
今回問題となった2品のタンパク質含量が製品規格値を上回っていたことは、トクホの関与成分問題を受けて同庁が昨秋実施した特別用途食品の品質管理調査で明らかになっていた。これを受け、同社は昨年11月7日、同2品の失効届を同庁に提出。同庁としては、特別用途食品を規定する健康増進法に基づく許可取消し処分には動かなかった。
当時、同庁の岡村和美長官は、「現段階では、悪質な信頼関係違反とは認定していない」などと述べ、悪質性はなかったとの認識を示した。ただ、トクホに関して同様の問題を起こした日本サプリメントに対するものとは大きく異なる対応に、疑問の声も上がっていた。