新規関与成分が受理 赤ブドウ葉で足のむくみ軽減 (2017.11.9)


 赤ブドウ葉由来ポリフェノールを機能性関与成分にした届出が初めて受理された。ヘルスクレームに関しても、「夕方の足のむくみを軽減」と従来になく新規性の高いもので、業界関係者の驚きと称賛を呼んでいる。他にも、初の機能性関与成分として乳由来スフィンゴミエリンが登場。脂質成分が受理された。届出者は花王。特定保健用食品大手が機能性表示食品に参入する。

ヘルスクレームも初
 赤ブドウ葉由来ポリフェノールを届け出たのは、通算8件目の届出となる健康食品通販のリフレ(勝田徹社長)。サプリメント「脚きゅっと!」を届け出た。

 足のむくみに対して訴求する機能性表示食品の届出は初。このヘルスクレームを巡っては、健康維持・増進の範囲に収まるかどうか微妙視する見方もあった。その分、受理までに少なくとも2年以上の長期間を要したもようで、届出表示には「ただし書き」が付加された。届出表示は次の通り。

 「本品には赤ブドウ葉由来ポリフェノールが含まれるので、夕方の脚のむくみを軽減します」「ただし、一晩寝て朝になってもむくみが回復しない(一過性でない)、脚以外の部位がむくむ、その他体に異常がある場合は、医師の診察をお勧めします」
 場合によっては医療機関で診察を受けるよう勧める文言が届出表示に盛り込まれたのは2例目。先例としては、肝臓機能の維持を訴求するクルクミンの届出がある。いずれも、疾病に対する改善効果があると誤認される可能性を消費者庁が嫌い、注意喚起の追記を求めたとみられる。

 加えて、憶測だが、今回は医薬品との差異化が考慮された可能性もあるかもしれない。
 機能性関与成分の原材料である赤ブドウ(ヨーロッパブドウ)の葉は食経験が豊富だと考えられており、現行の食薬区分においても、「ブドウ」に含める形で、「専ら非医薬品」に該当すると整理されている。

 一方、特定種の赤ブドウ葉を原料とし、特定の製法で製造される赤ブドウ葉エキスは、いわゆる「西洋ハーブ医薬品」の有効成分の一つ。効能効果としては、軽度静脈還流障害による足のむくみ、むくみに伴う足のだるさの改善が認められており、製剤としては、独ベーリンガーインゲルハイムが開発した「アンチスタックス」が知られる。日本でも2013年から「ダイレクトOTC医薬品」として販売されている。
 そのような中で、リフレが今回届け出た機能性表示食品の主な摂取対象者は、「仕事の疲れがたまる夕方に脚のむくみを自覚している健康な女性」に限定。また、商品に配合する赤ブドウ葉由来ポリフェノールも、食品として日本で少なくとも16年以上の販売実績があるものであり、機能性の科学的根拠に関しても、最終製品の臨床試験を届け出た。

 日本でアンチスタックスは、要指導医薬品として取り扱われており、対面販売が必須とされている。あくまでも一過性の足のむくみに限られるが、通信販売で手軽に購入できる「むくみ軽減食品」に、働く女性がどのように反応するかが注目されそうだ。

花王が機能性に参入
 トクホ「ヘルシア」シリーズを販売する花王では、同社として初の機能性表示食品として、タブレット型サプリメント「リファイン MFGM」を届け出た。昨年8月から同名のサプリを全国のイオン店頭で販売しており、機能性表示食品としてリニューアル発売するものとみられる。

 届出表示は、「50代以上の方が、ウォーキングなどの運動と併用することで、加齢によって衰える、踏み出す、止まるといった、足の動きをサポートして、歩行能力の維持に役立ちます」。最終製品の臨床試験論文2報を科学的根拠として届け出た。

 商品のパッケージ正面には、「加齢によって衰える足の動きをサポートして、歩行能力の維持に役立つ」と機能性を表示する。現在販売中の同名サプリメントでは、「アクティブで前向きな毎日を」とあいまいな表現にとどまっており、訴求点が大幅に明確化される。

 機能性関与成分とされた乳由来スフィンゴミエリンは、スフィンゴ脂質の一種。肌の保湿機能で知られるセラミドの関連成分であり、乳由来のものは「ミルクセラミド」とも呼ばれる。一般的には美容サプリ・ドリンク向けの素材として利用されており、いわゆる「ロコモティブシンドローム」対応素材として活用されるのは極めて珍しいといえそうだ。

 栄養素でもある脂質を機能性関与成分にした届出を巡っては、グルコシルセラミド(スフィンゴ糖脂質)など一部例外はあるものの、消費者庁は受理しない運用を行っていたとされる。ただ、今回受理していることから、栄養素の作用とは異なることなどを前提に、運用を変えたようだ。認知機能に対する作用で知られる、リン脂質の一種であるフォスファチジルセリン(PS)なども、いよいよ受理される可能性がある。


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