神経系に与える役割など解説 都医学研主催の都民講座(2014.1.30)
東京都医学総合研究所主催の「コンドロイチン硫酸」をテーマにした無料都民講座が30日、都内で催され、約350人が聴講に訪れた。参加者の多くは高齢者層だったと見られる。
主催者によれば、参加者の大半は一般消費者だという。一方で、質疑応答では、コンドロイチン硫酸の吸収と体内動態について説明を求めるなどする専門的な質問も飛び出し、学会や研究会の様相も呈していた。
講座のテーマは「コンドロイチン硫酸の謎~膝痛と神経再生~」。痛みを緩和するには「運動療法の方が効果的」だと指摘する一方、その機能性に関しては「メタ分析の結果は『効果あり』を支持している」と伝えるなど中立的な内容だった。
講演では、同研究所神経回路形成プロジェクトリーダーの前田信明氏がコンドロイチン硫酸の構造や機能性など基礎的部分を解説しつつ、「軟骨コンドロイチン硫酸の構造は動物により異なる」として、C型やE型などのタイプがあると紹介。また、コンドロイチン硫酸で近年注目されているのは「脳神経系における機能」だとし、神経細胞や神経回路の形成のほか神経可逆性の制御に役立っていると説明した。
ほかに武内恒成・愛知医科大学医学部生物学教授がコンドロイチン硫酸ノックアウトマウスを使って同成分が生体に果たす役割を検証した研究成果を披露。体内から同成分が減ると、骨に対しては軟骨形成層が薄くなり骨の形成が遅れる、脳に対しては大脳の層形成が遅くなり大脳形成が遅れるほか、脳のネットワーク形成が遅れることなどが分かったという。「このノックアウトマウスにコンドロイチン硫酸を摂取させるとどうなるか、という研究も可能かも知れない」