目立ち始めたM&A 事業強化、拡大、受注増に対応(2018.10.25)


 ヘルスケア業界で企業、事業の買収が目立ち始めた。前号の1面でシオノギヘルスケアによる宝グループの健康食品事業買収を伝えたが、その後も複数の案件が発表されている。水面下では、日本製品の人気や米中貿易摩擦を受け、製造国を日本に求める中国企業の動きも伝えられており、M&Aはさらに加速する可能性がある。発表情報をベースに主な動きをまとめた。

ILSを買収 投資会社2社
 L‐カルニチンなど健康食品原材料を供給するILSは10日、ペプチド事業が親会社の大塚化学に吸収分割されるとともに、発行済み株式の全てがマウンテンホールディングス合同会社(ゴールドマン・サックスの関係会社)とOPI2002投資事業組合(オリックスの関係会社)に譲渡されたと発表した。

 吸収分割、株式譲渡ともに10日付。株式の譲渡金額、2社の株式保有比率は非開示。
 オリックスの関係者は株式譲受の理由について、「ヘルスケア分野に関心を持っていた。それ以上話せることはない」としている。

 これにより、がんや遺伝子・希少疾患など幅広い領域で新薬開発を目指すペプチド事業は前親会社の大塚化学、そのほかの機能性食品事業、医薬品事業はILSがそれぞれ手掛けていくことになった。大塚化学は、ILSの株式を譲渡したことで、健康食品原材料事業を手放すことにもなった。

 ILSは近く、マウンテンホールディングスやOPI2002投資事業組合から取締役を迎え入れる予定。また、大塚化学内にあった東京事務所は、先月末までに茨城県守谷市にある本社に統合した。

 ILSの前身は、2003年設立の伊藤ライフサイエンス。以降、機能性食品事業では、L‐カルニチンやヘム鉄、ブタ肝臓エキスを主力素材として供給。その後08年に大塚化学の傘下に入り、社名をILSに変更していた。

サティス製薬 ガイア社取得
 化粧品OEMのサティス製薬は17日、ガイア・エヌピーの化粧品工場(長野県駒ヶ根市)をM&Aにより取得したと発表した。これにより、サティス製薬は国内4工場体制とし、生産能力を約1.5倍に増強する方針。買収額などは非公表。

 ガイア・エヌピーは2000年に設立され、アロマセラピー関連商品や化粧品、サプリメントなどの製造や販売を行っており、長野県駒ヶ根市に工場を保有している。

 しかし、東京商工リサーチによれば、7月27日に東京地方裁判所から破産手続き開始の決定を受けていた。サティス製薬による今回の買収は、ガイア社の事業継承の意味合いもありそうだ。

 サティス製薬の発表によると、新たに取得した駒ヶ根工場にバルク製造設備や自動生産ラインなどを導入し、大量受注品生産の専用工場とする方針。埼玉県のサティス製薬本社工場などは引き続き小ロット受注品に対応していくとしている。

 同社では、今回の工場買収により、生産能力が約1.5倍に拡大し、小口受注品から大量受注品まで、幅広く顧客のニーズに応えられる体制が整うとしている。また、受注拡大をにらみ、新規工場の建設にも乗り出す考えも表明している。

 化粧品OEM業界では、インバウンドの拡大や中国、東南アジアへの輸出急増を背景に、国内の生産拡大が続いており、工場の新設や買収も相次いでいる。

雪印メグ、通販会社を傘下に
 雪印メグミルクは12日、千趣会グループの通販会社ベルネージュダイレクト(BND)の株式を追加取得して子会社化することで、千趣会、BNDと基本合意したと発表した。

 BNDは、1999年に主婦の友社の通販部門を分離・独立させた「主婦の友ダイレクト」として設立、14年に千趣会の100%子会社化となり、15年には雪印メグミルクが機能性食品の強化の一環として、BNDと資本業務提携を行っている。

 BNDの通販サイトでは、主に生活雑貨や食品を取り扱っており、雪印メグミルクによると、機能性食品の売上高も堅調に推移しているという。雪印メグミルクでは、中期経営計画に基づく機能性食品事業の成長モデル構築の一環として、BNDを子会社化するとしている。

 子会社化はBNDの第三者割当増資を雪印メグミルクが引き受ける形で行われ、来年1月に完了の予定。株式取得後は、BNDに対する雪印メグミルクの持株比率は、33.4%から66.6%に、千趣会は66.6%から33.4%に変わる。

日清ファ、通販事業を譲受
 日清ファルマは15日、同社製健康食品「リブロン(LIVLON)シリーズ」の通販事業を手掛けるビイ・エス・ティ(東京都港区)から同事業を譲り受けると発表した。

 これにより、健康食品の販売ルートを通販サイト「日清ファルマダイレクト」に一本化する。「健康食品の素材及び製品の開発から、製造、販売まで一貫して行うメーカーとして、健康食品事業のさらなる拡大を目指す」狙いだ。

 ビイ・エス・ティは、リブロンシリーズ通販事業を今月31日付で日清ファルマに譲渡する。譲渡額は非公開。同シリーズの広告企画・制作も手掛けていた。

 ビイ・エス・ティは、リブロンシリーズの販売代理店として1995年に通販を開始。その後、日清ファルマが2012年に日清ファルマダイレクトを立ち上げたため、同社製の健康食品の通販ルートは2つに分かれていた。

Clip to Evernote

ページトップ