消費者白書に定期購入問題 減らぬ相談 19年、前年2倍に ネット通販が9割超(2020.6.11)


 消費者庁が9日公表した令和2年版消費者白書で、「最近注目される消費者問題」の一つに、インターネット通販による健康食品や化粧品の定期購入トラブルが取り上げられた。この問題を巡る消費生活相談件数は増加傾向が続いており、2019年は前年のおよそ2倍にあたる約4万4000件の相談があったという。15年比では10倍超にも達している。

 白書によると、健康食品・化粧品の定期購入を巡る相談の9割以上がインターネット通販によるもの。定期購入に関する相談の増加によって、健康食品、化粧品とも、相談が増加しているとした。

 健康食品について19年に寄せられた消費生活相談件数全体は、18年の約3万3000件に対して、約4万9000件と大幅に増加した。そのうち過半数の約2万6700件が定期購入に関するもので、その他の相談は15年以降、おおよそ横ばいで件数が推移していることから、定期購入に絡む相談の増加で全体の相談件数が大きく押し上げられた格好。化粧品も同様の状況となっている。

 定期購入に関する相談者を年齢層別にみると、50歳代からの相談件数が最多。次いで40歳代、60歳代と続く。ただ、最近は相談者の低年齢化傾向も見られ、19年は20歳未満、20歳代からの相談件数の増加が目立ったという。

 白書は、健康食品の定期購入に関する相談事例について、「『ダイエット効果のあるサプリメント、お試し500円』という広告を見て注文したが2回目が届いて数千円の代金を請求され、慌てて事業者に確認すると、お試し価格で購入できるのは複数回の定期購入が条件だと告げられた」といった例を取り上げた。「解約できない」とする相談も多い。

健康被害情報増加の一因にも
 健康食品の定期購入を巡る相談は、健康被害の訴えと一体になっているケースが多い。実際、健康被害情報が急増していることを理由に、消費者庁が消費者安全法に基づき社名や商品名を公表の上で消費者への注意喚起を行った『ケトジェンヌ』を巡る問題では、注意喚起が行われる以前から、定期購入に絡んだ苦情・相談が各地の消費者センターに寄せられていた。

Clip to Evernote

ページトップ