ビタミンD、需要増続くか 一部商品、200%の伸び(2021.1.14)

大塚合体②

【写真=ビタミンDサプリメントはコロナ禍で売上を大きく伸ばしている。(写真右)大塚製薬の「スーパービタミンD」、(写真左)ファンケルの「ビタミンD」】

 ビタミンDサプリメントの需要が伸びている。国内市場規模の前年比2倍近い成長を見通す市場調査データもある。好調要因と考えられるのは新型コロナウイルスの感染拡大だろう。今後も需要が伸びていく可能性がある。

 サプリメントブランド「ネイチャーメイド」を展開する大塚製薬では、ビタミンDサプリメントの国内売上が好調に推移。前年比約200%の伸びを示している。

 同社によると、ドラッグストアなどを主要販路とする同品は、昨年、一部店頭で品薄状態が続いた。このため需要期に向けて供給体制の強化を図る方針。大塚ホールディングスの子会社で「ネイチャーメイド」を製造する米国のファーマバイトでは、需要が拡大している米国と日本市場向けのビタミンDサプリメントの生産量を増やし、今後の需要に対応する。

 昨年、ビタミンDサプリメントの販売が好調だったのはファンケルも同様だ。昨年4月から9月のビタミンDサプリメントの売上高は前年同期比で2倍以上に伸長。通信販売部門に限れば270%に上る大幅な伸びを示した。

 同社は、ビタミンDに報告されている免疫機能に対する働きに大きく注目している様子。昨年12月17日に新発売した、健康な人の免疫機能の維持を訴求する機能性表示食品のサプリメント『免疫サポート』には、ビタミンD・Cも配合した。同品の機能性関与成分は、あくまでもプラズマ乳酸菌。ただ、免疫機能の維持を訴求する同品の商品設計には、ビタミンDの配合が欠かせないと判断したといえそうだ。

市場規模、20年に急拡大
 市場調査からもビタミンDサプリメントに対する需要の伸びがうかがわれる。

 市場調査会社のインテージは、昨年1月から11月までのドラッグストアのPOSデータをもとに、ビタミンDサプリメントの販売状況を集計。それに基づき、20年の市場規模は、前年のおよそ2億円から約3.7億円への拡大が見込まれるとの結果をまとめた。

 この調査結果は、大塚製薬が不定期にリリースするマルチビタミン等の情報を盛り込んだニュースレターの昨年12月23日付で伝えられたもの。同調査結果に通信販売など他の販売チャネルによる販売数量を加えれば、ビタミンDサプリメントの足もとの市場規模はさらに大きく膨らむことになる。

 インテージの調べによれば、国内ドラッグストアにおけるビタミンDサプリの市場規模は2010年時点でわずか1400万円余りだった。およそ10年で緩やかな拡大を辿ってきたなかで、20年は伸び率が一気に跳ね上がったかたちだ。

 こうした需要の伸びは今年も続くのか。1月7日、新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、昨年4月以来の緊急事態宣言が首都圏1都3県に発出された。ビタミンDは日光を浴びることでも体内でつくられるが、外出自粛によってその機会は大幅に減少する。アクセルを踏み込み過ぎた広告宣伝を展開すれば大やけどを負うだけだが、ビタミンDサプリメントは、今年も最も有望なヘルスケア商材の1つといえそうだ。




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