青汁 コロナ下で堅調 次の一手 新CMと新分野商品(2021.2.25)

山本合体①

【写真=左:先ごろ届出公開された便通改善を訴求する機能性表示食品の青汁。得意先のPB品としての展開も考えている 右:山本漢方製薬 山本 整代表取締役】

次の一手 新CMと新分野商品
 大麦若葉の青汁を主力商材に業績を伸ばし続けてきた山本漢方製薬(愛知県小牧市)。コロナ下における訪日客の消滅でインバウンド需要は減少。業績に与えた影響は少なくないなか、国内での消費が盛り返しつつある。社名ブランディングなど様々なプロモーションを仕掛けてきた同社山本整社長が描く次の一手についてオンラインで聞いた。

――昨年から続く新型コロナは様々な業界に影を落としました。山本漢方の業績に与えた影響はいかがですか。

 「我々の健康産業界はなんとかなっていると感じています。インバウンドが無くなり、国内の外出自粛なども影響したのかもしれませんが、昨対を割り込むような厳しい状況もありました。ただ、それ以降はV字回復とは言えませんが、前年同月を横這いか、数%増といったかたちで推移しています。青汁商品を対象にしたプレゼントキャンペーンなどの実施や、テレワークなどで自宅にいることの多い方からの商品購入が増えたことも要因にあるでしょう。休眠していた会員の方たちが、この状況下で再び購入するケースも増えました。今年に入り、売れ行きは悪くありません」

――“ヤマカン”のテレビCMを見かけることが多いと感じています。

 「CMの本数はかなり増やしました。3年ほど前から始めている社名ブランディングのCMは、タレントさんを起用して、〝ヤマカン〟の愛称を定着させました。一定の成果が上がったと思います。一方で、商品を中心としたCM展開も進めています。当初の計画ではもう少し先でしたが、コロナ下において、攻める時期との判断から前倒しで始めました。昨年の夏は乳酸菌配合の青汁と、ヨクイニン(第3類医薬品)の2つのCMを投入しました。乳酸菌の青汁はタイミングも良かったせいか伸びています。ヨクイニンも同様で、8月頃から売上を伸ばしました。この2つの商品が業績に貢献しました」

――インバウンドのマイナス分を国内需要でカバーしたということでしょうか。

 「結果としてそうなりました。CMやキャンペーンなどが後押しし、マイナス分を補うことができました。たまたま良い方向に進んだと感じています。いってこい(プラスマイナスゼロ)でした」

攻め姿勢で臨む 中国市場開拓も
――次のプロモーションの施策はどのように考えていますか。

 「販売目的のCM展開を進めます。社名ブランディングのCMのようにタレントさんは使わないので面白味はないですが、商品の特徴を訴求する内容のCMです。内容も至ってシンプルに仕上げる。商品を売るための広告です。CM展開の第2段階です。若い年代を取り込むため、ユーチューブを活用した商品訴求も強化していきます。今年はこれらの分野への広告投資を集中させます」

――現在の主要な販売チャネルはドラッグストアですが、通販で業績を伸ばしている企業も増えています。

 「当社でも自社通販はしているが、この事業を大きくすることは今のところ考えていない。ただ、今後は通販事業を強化する企業は増えてくるでしょうね」

――青汁以外の商品の動きはいかがですか。

 「強壮系が動いています。当社では扱っていませんが、亜鉛やビタミンDなどが売れている話は聞きます。当社品ではマカの売れ行きが良かった。年末にかけて大きく売り上げました。

 今年は特に新しい商品展開を進めていく予定です。こんな状況下だからこそ、攻めていくことが今年の施策です。いままで商品化しなかった分野も手掛けていくことも考えています。例えばダイエット系などの商品開発も検討しています」

――新しい分野としては、大麦若葉由来食物繊維を機能性関与成分にした機能性表示食品の青汁がこのほど届出公開されました。

 「現状としては特定保健用食品として販売している青汁があるので、機能性表示食品をいますぐに手掛けることは考えていません。いろいろ考えていますが、得意先のPB展開などに利用してもらうことなども想定しています」

――昨年から始めている中国での一般貿易の感触はいかがですか。

 「この状況下では、アウトバウンドは少し厳しい。中国への商品の発送は、昨年と比べると少ないですが、そのなかでも、青汁はじめ、黒豆茶やとうもろこしの健康茶が動きました。

 ただ、商品が定着しにくい市場でもあることがわかりました。いきなり売れたと思ったら3カ月ぐらいですたれてしまう。回転が早い、難しい市場です。それに、内需が強くなっているのではないでしょうか。年配層は日本製を求めることが多いですが、若い人たちは中国製を信頼するといったことを肌で感じています。いろいろと見極める必要はありますが、爆発力はある市場なので、攻めの姿勢で臨んでいきたいと考えています」


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