カツオ由来エラスチン 血管ケア機能表示めざす (2021.2.25)


 カツオ由来エラスチンペプチドを製造・販売する林兼産業(山口県下関市)が、機能性表示食品の届出サポート活動を強化する。同素材で可能な機能表示(ヘルスクレーム)を拡充し、顧客の幅広いニーズに応えやすくする。年内の早い段階で、血管ケアと肌の弾力維持に関する機能表示を新たに実現したい考えだ。両機能とも、近く、同社として届出を行い、公開後、届出サポートを本格化する。

 林兼産業は、カツオ由来エラスチンペプチドの製造・販売で15年以上の実績を持つ。主に美容用途で国内外の機能性食品市場を開拓してきた。

 その間に機能性研究も実施。これまでに発表してきた論文を踏まえ、現在、機能性表示食品の領域では、ひざ関節のケアを訴求できる機能性関与成分として提案しながら届出サポートを進めている。

 その中で、最終製品販売会社など顧客のニーズにさらに応えていくため、表示可能な機能性の領域を広げる取り組みを昨年から本格化していた。これまでに発表してきた論文や、他の機能性関与成分の届出動向などを鑑み、血管ケア機能と肌弾力維持機能の実現可能性が高いと判断。血管ケア機能については研究レビューを既に終えており、今月中にも、まずは同社として届出資料の提出を行う計画だ。

 カツオ由来エラスチンペプチドによる血管ケア機能の科学的根拠としては、同社が2017年に国内査読付き誌に発表した、健常な日本人男女を対象にしたRCT(ランダム化比較対象試験)論文を活用する方向だ。

 同論文は、FMD(血流依存性血管拡張反応)とPWV(脈波伝播速度)を評価指標に、カツオ由来エラスチンペプチドの継続摂取に伴う血管弾力および血管機能の向上作用を検証したもの。同社製のカツオ由来エラスチンペプチド摂取群は、FMDとPWVの双方について、プラセボ摂取群との比較で有意な改善が認められたことなどを報告している。

 血管そのものに対するケア機能を訴求する機能性表示食品は、今のところ1件のみにとどまるが、昨年末ごろ、植物由来の機能性関与成分で届出実績が初めてつくられた。「加齢とともに低下する血管の柔軟性維持に役立つことが報告されています」といった、日本の保健機能食品全体として初となる機能表示を届け出たもので、FMDに対する働きを科学的根拠の一つとする。

 このため同社は、「届出の前例とエビデンスを踏まえれば、我われのカツオ由来エラスチンペプチドでも、血管の柔軟性維持機能を表示することは十分可能だ」と強調。早い段階で届出を実現し、既に高い関心を示している顧客らに対し、原材料販売とともに届出支援を提供していきたい考えだ。

肌弾力向上も対応準備
 一方、同社は、血管ケア機能と同時進行で、肌弾力維持機能の表示実現に向けた準備を進めている。肌弾力維持機能も、最近になって届出が実現した新たな領域だ。

 カツオ由来エラスチンペプチドの継続摂取で肌の弾力改善が期待できることは、これまでの研究で示唆。同社としてもヒト試験を実施し論文発表を行っていた。ただ、機能性表示食品制度に対応するエビデンスとしては弱いと判断。そのため、昨年、ヒト試験を新たに実施した。近く、試験結果をまとめた論文が国内査読付き誌に掲載される見通しだ。血管ケア機能と共に、カツオ由来エラスチンペプチドとして初の機能性表示の実現を目指す。

 エラスチンはタンパク質の一種。生体では、肌や血管など伸縮性が必要とされる部位に特に多く含まれており、それらの部位に対して弾性を与える機能を果たしているといわれる。

 林兼産業が製造・販売するエラスチンペプチドは、カツオの血管の一部(動脈球)を原料にしたもの。エラスチンに特有のアミノ酸の一種、デスモシンおよびイソデスモシンを規格化している。ヒト試験結果を根拠にした1日あたり有効摂取量は、75㍉㌘と少量であることも特徴の一つ。


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