20年市場規模 素材40品目 前年割れか (2021.3.11)
サプリメント・健康食品原材料40品目の2020年市場規模は、前年比2.9%減の1920億円が見込まれるとする調査結果を富士経済(東京都中央区)が取りまとめ、2月22日に公表した。減少要因について、新型コロナ禍を受けた最終製品の開発スピードの鈍化で需要が減少する品目が見られたと指摘。動物系および植物系原材料の市場規模は前年を割り込むことが見込まれるという。
この調査は、数多あるサプリメント・健康食品の原材料(成分・素材)のうち動物系14品目、植物系20品目、合成系6品目の計40品目の20年市場規模を調べたもの。調査結果は、「生物由来有用成分・素材市場徹底調査2021」にまとめた。
同社の調べでコラーゲンなど動物系14品目の20年市場規模は、前年比5.3%減の1275億円と前年を割り込むことが見込まれる。
大麦若葉など植物系20品目も同0.6%の微減だが減少し、492億円の見込み。一方で、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)など合成系6品目は同13.3%プラスの153億円が見込まれるとしている。
20年の同市場について同社は、前年比マイナスが見込まれるものの、精神的な不安や運動不足に見舞われた新型コロナ禍で、「ダイエット関連やメンタルケア関連の需要が増加している」と分析。ダイエット需要の側面からはサラシア、大豆、エンドウたんぱくが「好調」、ストレスケア関連ではGABA、ラフマなどが「堅調に伸びている」と見る。
一方、前年から落ち込んだ素材カテゴリーとして、美容訴求やひざ関節対応、肝機能関連などを挙げた。
動物系、植物系は前年割れが見込まれる一方で、2ケタ増の見通しを示した合成系について同社は、スポーツ対応で定番のBCAAやL‐アルギニンは低迷したものの、NMNは「好調」だと指摘。同社の調べでNMNの20年素材市場規模は26億円が見込まれ、27年には148億円の規模に達することが予想されるという。
ただ、NMNの今後を巡っては業界内で懐疑的な見方もある。原材料サプライヤーの数は明らかに増加している一方で、最終製品を販売しているのは一部企業にとどまっているなどとして、今後に対して冷めた意見も聞かれる。
ラフマ、2ケタ増の見込み
20年の生物由来有用成分・素材市場規模調査結果を公表するにあたって富士経済は、「注目市場」として、生活習慣病対応素材のサラシアと、睡眠ケア素材のラフマをピックアップし、市場規模などを伝えた。サラシアは、前年比11.8%増の19億円、ラフマは、同38.9%増の2億5000万円がそれぞれ見込まれるという。
両素材とも、機能性表示食品への採用実績が増えている。特にラフマは、機能性表示食品市場に展開できるようになったことで、需要が創出された格好だ。
富士経済ではラフマの市場拡大が見込まれる理由について、新型コロナ禍で「不眠など睡眠に対する悩みを抱える消費者が増加している」と指摘している。
一方、サラシアについて富士経済は、20年前半は原料産地国がロックダウンを実施したことで「輸入が一時停止するなど不安も見られた」としつつ、「後半には輸入が再開され高まるニーズを背景に前年比11.8%増が見込まれる」とし、今後についても堅調な拡大が見込まれる、と予測している。