原材料市場での存在感 より高く  (2021.4.8)

事業戦略インタビュー_龍泉堂_塩島社長①

創業40周年の今年 エラグ酸等を主力に 
 エラグ酸(アフリカマンゴノキ抽出物)や非変性Ⅱ型コラーゲン(鶏軟骨抽出物)など機能性食品原材料の販売を手掛ける龍泉堂(東京都豊島区)が今年、創業40周年を迎える。この間に同社は、事業基盤を最終製品販売から原材料販売に大きくシフトさせた。その狙いや足もとの業績、今後の成長戦略などを塩島由晃社長兼CEOに聞いた。

──龍泉堂は今年、創業40周年を迎えます。また塩島さんご自身も、2011年4月の社長就任から10年が経過しました。

 「当社は元々、スピルリナやタマネギをはじめとする最終製品の販売会社としてスタートしました。今でも最終製品販売を行っていますが、私が社長に就任してから事業基盤の舵を切った。最終製品販売から原材料販売に舵を大きく切りました。最終製品販売だけでは流行の波に経営が左右されやすかったからです。一方で原材料は、有効性や安全性が確かで、かつ、希少性の高い素材であれば、安定的な需要が見込めます」

帝京大内に研究室 品質確保を目的に
──今の龍泉堂は、業界から原材料事業者として認識されています。逆に言えば、最終製品販売を行っていることを知らない人が多そうです。

 「確かにそうかもしれませんね(笑)。でも、当社が原材料メーカーと位置づけられているのは率直に嬉しいことです。そうなれるように努めてきましたから。今では、各最終販売会社様に提供する原材料の品質を担保するため、帝京大学内に分析研究室を置いています。帝京大と共同で設置したもので、当社の研究開発社員が常駐し、原材料から最終製品まで品質の確保に努めています」

 「この研究室は、当社が国内外で行う各種試験などの研究・開発にも大いに役立っていて、今の当社に不可欠な存在です。2021年内に発売する予定の植物由来の新素材についても、今、研究室で分析方法の確立などに取り組んでいるところ。本当であれば5月ごろにも上市したかったのですが、慎重に取り組んでいます。発売を楽しみにしていてください」

──龍泉堂は、海外発の切れ味のよい機能性食品素材を国内市場に広げることで定評があります。その秘訣は?

 「うーん、そのように言って貰えるのは嬉しいのですが……。直観、としか言いようがありません(笑)。ただ、当社独自のルートを確立できていることは確かですし、情報収集にも努めています」

 「その中で、『これはいける』と判断した素材がたまたま国内で支持を得られるようになったということなのかもしれませんが、『これはいける』と判断する前提には、まず、食品としての安全性がはっきりしていること。そして、当社として国内で品質の担保をできることの2点があります。機能性については、あらかじめ確度の高いエビデンスが揃っているとベストなのですが、そこは二の次。まずは安全性と品質の担保を絶対条件にしています」

 「機能性に関するエビデンスに関しては、我々として国内で積み上げられるよう努めています。実際、機能性表示食品の機能性関与成分として多くのお客様がご活用くださっているエラグ酸のエビデンスについては、そのように取り組みました」

──エラグ酸をはじめとする各素材の足もとの需要はいかがですか?

 「新型コロナ禍で、さすがに右肩上がりというわけにはいきません。2020年はほぼ横ばい。私たちだけではないと思いますが、特に、新規のお客様の獲得に苦戦しました」

 「ただ、今年は上向くと見ています。社員がオンライン営業に慣れてきましたし、これまでに届け出されたエラグ酸の機能性表示食品が順次発売されていく見通しです。エラグ酸の届出件数は現在、23社27商品(4月2日時点)となっていますが、まだまだ増えそうです」

 「機能性表示食品ではUC‐Ⅱも堅調に推移しています。また、ここにきて免疫対応のウェルミューン(パン酵母由来β‐グルカン)や認知機能のPQQ(ピロロキノリンキノン)、昨年に日本、アメリカ、韓国、EUでの販売権を取得した抗酸化機能のオプティベリー(6種ベリー類混合抽出物)の引き合いが増えています。エラグ酸、非変性Ⅱ型コラーゲン以外についても機能性表示食品制度に対応することを視野に入れながら、今年は、これらの素材を主力製品として拡販していくつもりです」

9月に学術セミナー 通販事業も強化へ
──10年後、50周年に向けた抱負を聞かせて下さい。龍泉堂をどう成長させていきますか?

 「まずは9月16日に都内で予定している創立40周年の祝賀を兼ねた学術セミナーを滞りなく開催すること。その上で、機能性食品原材料メーカーとしての存在感をますます高めていきたいと考えています。当社の独自素材であるビタ・オニオンパウダー(タマネギの抽出物)やオプテイン(オニオンおよびパンプキン抽出物)なども含めた既存素材から新規素材まで、機能性に関するエビデンスを積み上げながら、国内外に広げていければ」

 「また当社のグループ会社で手掛けている通信販売事業のテコ入れも図ります。BtoB事業を基盤にしながら、あらためてBtoC事業にも力を入れることで、業績を相乗的に拡大させるつもりです」

【写真=龍泉堂 塩島由晃 社長兼CEO】

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