水素水、また措置命令 今度は生成器(2021.4.8)

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消費者庁、4社を一斉処分 医薬品的効能標ぼうに優良誤認
 水素水の有効性に関する広告表示を巡り、ふたたび消費者庁が景品表示法に基づく措置命令の行政処分を下した。前回、2017年3月の措置命令の対象は、健康食品や清涼飲料水だったが、今回は水素水の「生成器」(サーバー)。生成された水素水を摂取することで活性酸素が除去され、がんなど疾患の予防効果が得られるかのように示す、医薬品的効能効果の標ぼうに近い優良誤認表示を行っていたとして、3月29日から30日にかけて4社を一斉に処分し、発表した。

処分対象に上場企業も
 消費者庁の発表によると、水素水生成器の広告表示を巡る景表法違反で措置命令を受けたのは、ドクターズチョイス(東京都千代田区)▽シンアイ産業(沖縄県浦添市)▽アイ・ティー・ウェブジャパン(東京都大田区)▽ナック(同新宿区)の4社。アイ社と東証一部上場企業のナックの2社は、同庁から処分を受ける前に、優良誤認表示を行っていた旨の社告を日刊紙に掲載していた。

 4社とも、自社で販売またはレンタルサービスを手掛ける水素水生成器について、自社ウェブサイトで疾病や老化を予防する効果があるかのように示す、薬機法違反(医薬品的な効能効果の標ぼう)に近い表示を行っていたという。水素水に関する学術論文は少なからず存在するものの、消費者庁では、活性酸素を除去したり、がんなど疾患を予防したりといった効果に関しては、「ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータは見当たらない」と指摘。そのため、各社が行っていた表示は優良誤認に当たるとし、景表法違反を認定した。

復調市場に冷や水
 水素水の市場規模は、最盛期には300億円を超えていたとされる。しかし現在までに市場は大きくシュリンク。溶存水素濃度に関する表示と実際のかい離などを指摘した国民生活センターによる商品テスト結果の公表(16年)や消費者庁による措置命令などの影響を受けたとみられる。

 ただ、ここにきて、水素水生成器は、ニーズが改めて高まってきているとの見方がある。新型コロナ禍で需要が伸びたと言われるウォーターサーバーの差別化アイテムとして人気があるとされる。

 今回、措置命令を受けたナックは、『クリクラ』のブランド名で宅配水事業を手掛けていることが知られる。

 ふたたびの措置命令は、復調傾向も伝えられる水素水市場に冷や水を浴びせることになりそうだ。

【写真=ドクターズチョイスが行っていた自社ウェブサイト表示の一部。現在、当該商品は販売していないとされる(画像は消費者庁公表資料より)】




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