東京都、健康食品を試買調査 令和2年度版 (2021.4.8)


表示・広告49品目に「不適正」 特商法関連が最多 景表法・薬機法も多く
 東京都が昨年5月から今年3月まで実施した令和2年度健康食品試買調査の結果、インターネット通販などで試買した56品目中49品目について不適正な表示・広告が認められたという。

 都は、毎年度の同調査で、「法令違反の可能性が高いと思われる」健康食品を試買、調査している。不適正な表示・広告を行う品目の発見率が高まるのは当然と言えるが、不適正な事例を法令別で見ると、特定商取引法が最も多かった。定期購入契約に関する表示で不適正な事例が多かったようだ。

 調査結果は都が3月24日に公表した。
 試買は、ドラッグストアなど店舗の健康食品売り場とインターネット等の通信販売を対象に実施。その結果、不適正な表示・広告が店舗で試買した10品目のうち2品目、通販では46品目のうち39品目についてそれぞれ確認されたという。

 特商法の他、健康増進法、景品表示法、薬機法に違反、あるいは違反が疑われたとしている。複数の法令にまたがる形で不適正な表示・広告もあった。

がん予防、免疫活性化、滋養強壮…
 試買対象製品群と試買品目数は、「ダイエット効果」が14品目、「男性機能向上」が21品目。ほかに「免疫力増強」が10品目、「健康茶」が4品目、「その他」が7品目。

 このうちネット等の通販で試買した免疫増強の製品群について都は、10品目すべてを不適正な表示・広告と判定した。

 また、薬機法に違反または違反の疑いがあると判定したものは、「男性機能向上」および「免疫向上」のそれぞれ10品目を筆頭に、計36品目に上った。

 都が、薬機法上の医薬品的効能効果の標ぼうと指摘した事例としては、免疫細胞を活性化▽ヘルペスの予防▽糖尿病改善▽発がん予防効果▽殺菌▽滋養強壮▽NO(一酸化窒素)分泌サポート▽脂肪燃焼▽疲労回復▽アレルギーを抑える▽GLP‐1を増やす──などがある。免疫細胞を活性化については、景表法が禁じる優良誤認にあたる恐れがあるともしている。

 特商法関連はそれより多く37品目。ネット等の通販で試売した品目について「定期購入に関する表示事項が明瞭に表示されていない」、「申し込み最終画面に返品に関する事項が表示されていない」、などといった不適正な表示事例が見られたという。
 景表法関連も19品目あった。

医薬成分、5品目から
 この他、医薬品成分が検出された事例が、計5品目あったという。
 内訳は、シルデナフィルが2品目、タダラフィルが2品目、メラトニンが1品目だった。

 メラトニンについては、インターネットで販売されていた米国産のCBD(カンナビジオール)含有グミから検出(第1037号既報)。都は、薬機法違反に当たるとして、販売会社に販売中止と回収を指示した。

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