2月の家計調査7.6%減 色濃くなった減少傾向(2021.4.22)


コロナ下のサプリ支出 20年9月以降マイナス優勢
 総務省統計局が毎月実施している家計調査で、サプリメントなど健康保持用食品の支出額の減少傾向が色濃さを増している。2021年2月分は、1世帯あたり支出額の前年同月比が物価変動の影響を除いた実質で7.6%減少した。20年9月から21年2月の6カ月間は減少の月が増加の月を大きく上回っている。20年4~8月に記録した支出額の大幅増が影を大きく潜めている。

2カ月連続で1100円未満
 総務省統計局が4月6日公表した21年2月分の家計調査結果(2人以上世帯)によると、健康保持用摂取品の1世帯あたり支出額は1026円にとどまり、前年の同じ月との比較で実質7.6%の減少となった。

 前の月、21年1月は、1.9%の増加。このため2月は減少に転じた形だが、前年の1月は9%減と大きく落ち込んでおり、その反動で一時的に増加した可能性も考えられる。また、1月の支出額は1047円だった。2カ月連続で1100円に届かなかったことになる。前年と比較すると、支出額が1100円を下回ったのは1月と9月の2回しかない。

 20年9月の支出額は1057円で、前年同月比は22.3%減と大幅な減少を記録。家計調査で健康保持用摂取の支出額が変調を来したのは同月からで、以降、0.6%増(10月)▽3.1%減(11月)▽6%減(12月)▽1.9%増(1月)▽7.6%減(2月)──と明らかな減少優位で推移している。

 一方で、20年前半は明らかな増加優位で推移していた。特に、4~8月は4カ月連続で2ケタ増を記録。20.7%増(4月)▽13.3%増(5月)▽22.2%増(6月)▽21.4%増(7月)▽50%増(8月)──と20%を超える大幅増が連続した。支出額を見ても、1200円を下回る月は皆無。50%増の8月は、16年9月以降では最高額となる1563円を記録していた。

 健康保持用摂取品の支出額に大きな影響を及ぼしているのは、主要購買層である「勤労者以外の世帯」だ。勤労者世帯よりも毎月の支出額が大きく、2月は、勤労者世帯が782円だったのに対して1305円。昨年9月以降、勤労者以外世帯の支出額は前年同月から大幅に減っている。

コロナ禍続く中でなぜ
 勤労者以外世帯の20年4~8月の支出額の名目前年同月比を追うと、4月は25.1%増、5月は6.4%減、6月は45.3%増、7月は30.8%増、8月は30.4%増──と5月を除き大幅な増加を記録。しかし、9~12月は、22.5%減▽4.3%減▽15.8%減▽17.1%減──と明らかな変調を来している。21年1月は18.5%増加したものの、前年1月は21.9%減と大幅に落ち込んでいた。最新調査の2月は5.2%の減少となっている。

 20年4~8月に健康保持用摂取品に対する支出が大きく上向いた背景には、新型コロナウイルス感染拡大を受けた健康意識の高まりがあったと考えられる。

 一方で、支出額が減少に転じた9月は、感染者数の増加が落ち着きを見せていた時期と重なる。ただ、11月以降は感染者数が再び増加傾向に転じ、年明けには2度目の緊急事態宣言が発令された。そうした中でも支出額は前年を下回り続けている。

 20年4~8月にせよそれ以降にせよ、生活者が新型コロナ禍に置かれていることに変りはない。その中で家計調査が示す健康保持用摂取品支出額の推移は、サプリメント等の支出に対する生活者の意識が、「促進」から「抑制」の方向に変化した可能性を示唆する。

 だが、日本通信販売協会が会員企業約130社対象に毎月実施している通販売上高調査は家計調査とは全く異なる傾向を示している。

 通販協の月次調査で20年4月の健康食品の売上高は前年同月比で6.3%の減少だった一方、5月以降は現時点で最新調査結果の21年2月まで9カ月連続で増加している。

 また、家計調査では7.6%の減少だった2月の伸び率は13.9%増と大きく増加。2ケタ増は3カ月連続となっている。

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