静大研究グループ NMN産生乳酸菌発見(2021.4.22)


 NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を産生する乳酸菌を発見したと、静岡大学が4月15日発表した。

 フルクトバシラス属の乳酸菌がNMNを菌体の内外に産生することを発見したという。
 この乳酸菌を用いることで、NMNの新たな工業生産プロセスを構築したり、NMNを含有する乳酸菌そのものを製剤化することで、乳酸菌のプロバイオティクス機能を併せ持つ新たな機能性食品の開発につなげたりが期待できる、としている。

 静岡大の発表によると、NMNを産生する乳酸菌を発見したのは、静岡大学術院工学領域の吉田信行准教授らの研究グループ。化学品メーカーの大阪ソーダ(大阪市西区)らと共同研究を進めていた。大阪ソーダは、グループ会社で、黒酵母βグルカンを中心にした健康食品の製造・販売を手掛けている。

 NMNは、米ワシントン大学の今井眞一郎教授らの研究グループが動物試験でいわゆる「若返り効果」を報告。これを受け注目度が高まり、日本でも配合サプリメントが販売されるようになった。ただ、かなり高額。このため、吉田准教授らの研究グループは、NMNの工業生産方法の効率化をめざして研究を進めていたようだ。

 吉田准教授らが発見したNMN産生乳酸菌のNMN産生量は、現在のところ培地1リットルあたり数㍉㌘にとどまるという。工業生産するには更なる生産性の向上が求められるといえ、吉田准教授らとしても「現在様々な検討を行っている」段階。品質の高いNMNの原材料価格が現在よりも下がれば、NMNの社会的な普及に弾みがつくと考えられることもあり、業界関係者からは今後の研究の進展に強く期待する声が聞かれる。

 静岡大の発表によると、当該乳酸菌がなぜNMNを産生するのかも解明できつつあるといい、「他の微生物にはない特徴で、基礎微生物学的にも非常に興味ある知見」だとしている。

 なお、吉田准教授ら研究グループの研究成果は論文にまとめられ、4月7日付のオンラインジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。


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