サメ軟骨広告に改善要請 「薬機法違反」と消費者団体主張(2021.5.27)

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解散後も続く広告を追求
 サメ軟骨由来成分を配合した健康食品の広告を巡り、新たなトラブルが持ち上がっていることが分かった。薬機法違反に当たるなどとして適格消費者団体が表示の是正を要請。厚生労働省など行政に対しても、適切な措置を行うよう求めている。ただ、同団体によると、表示是正を要請した先は現在までに解散。それにもかかわらず同様の広告が現在も行われているという。

日本サメ軟骨普及協会に対し
 サメ軟骨由来成分配合健康食品の広告表示を巡り是正を要請しているのは適格消費者団体の消費者支援機構関西(大阪市中央区)。5月12日付で要請書を「日本サメ軟骨普及協会」に送付し、同19日、その内容をホームページに公開した。

 同団体は、同7日まで、興和が販売する健康食品『カンゾコーワ』の表示を巡り、同社に改善を求める申し入れ活動を展開していた。

 要請書によると、同団体が問題視しているのは、同協会が作成、配布した新聞折り込み広告など。商品について直接的に広告するものではないが、サメ軟骨について変形性膝関節症等の改善効果があるかのような表示を行っているといい、健康食品の成分や素材に関する「研究広告」あるいは「普及啓発広告」とみられる。

 これに対して同団体は、「薬機法に違反する」などと主張。一連の広告宣伝を停止するよう要請している。

 適格消費者団体には、消費者契約法などに基づく差止請求が認められているが、薬機法は対象外。そのため、差止請求とは異なる「消費者団体としての要請」を行った。

折衝中に解散?「連絡なかった」
 同団体が同協会との折衝を開始したのは、2018年3月まで遡る。
 もともと、同協会の名称がある新聞折り込み広告について、景品表示法と照らし「適法性に疑問を感じる記載があった」ため「問い合わせ」を実施。その後、複数回の問い合わせを行い、同協会からもその都度、回答が寄せられていた。

 しかし、引き続き折衝を重ねようとしていた中で、同協会は「2018年11月30日に社員総会を開催し一般社団法人を解散」したという。同団体では、解散した旨の通知は一切なかった、として憤りを覗かせている。

 一方で同協会は、解散後も同様の広告を定期的に続けているらしい。「一般社団法事の解散後、任意団体として活動していると思われる」と同団体の事務局担当者は話す。

 同団体は要請書で、「法人を解散してもなお同じ名称を使用し、それまでと同様の内容で、新聞折り込みチラシを行っている」と主張。直近では今年4月にも広告が行われていることを確認しているといい、同協会に対し、6月11日までに要請書への回答を書面で寄せるように求めている。

 同協会に電話で要請書について確認を求めたが「担当者が不在」。
 同協会ホームページでは、サメ軟骨について「軟骨組織を再生させ、関節炎などの炎症を抑える作用があると言われています」などと効果を伝える文章が見られるが、商品写真は見当たらない。同団体によると、これまでに同協会は「商品を販売しているわけではない」と主張してきたという。

【写真=消費者支援機構関西が日本サメ軟骨普及協会に送付した要請書(出所:消費者支援機構関西ホームページ)】



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