オートファジー機能に着目した新素材 ダイセルが投入 ウロリチンAを発酵法で実現(2021.5.27)


 オートファジー機能が報告されている成分を規格化した新たなサプリメント・健康食品向け原材料をダイセル(大阪市北区)が開発、発売した。「ウロリチンA」という機能性成分を含有するもので、現在、オートファジー研究を行う国内ベンチャー企業と共同研究を進めている。

 ダイセルは25日、ウロリチンAの含有量を10%以上で規格化した『ウロリッチ』(製品名)の国内販売を24日に開始したと発表。ウロリチンAの製法としては、もともと化学合成法が知られていたが、同社は発酵による製造方法を開発し特許(WO2018/124135)を取得。菌株を複数組み合わせて嫌気性培養を行うことで、果実のザクロ由来エラグ酸からウロリチンAを発酵法で製造するという。これにより、国内で食品として販売できるようにした。

 ダイセルによると、ウロリチンAとは、ザクロに含まれるポリフェノールのうちエラグ酸からヒト腸内細菌によってつくられる代謝産物の1つ。ザクロやエラグ酸を含む食品を摂取しても、「腸内細菌叢の条件が整わないとウロリチンAへ代謝することはできない」という。

 また、ウロリチンAの機能性については、オートファジー機能の他に、サーチュイン(SIRT1)遺伝子活性化機能が報告されている他、両機能に関連する具体的な生理活性として、DNA修復に伴う皮膚老化抑制機能、メラニン生成抑制に伴う美白機能、ジヒドロテストステロン生成抑制機能──などが報告されているという。

 オートファジーとは、「自食作用」とも呼ばれるもので、古くなった細胞内組織を細胞自身が回収して分解する仕組み。この仕組みが細胞の恒常性を保ち、新陳代謝を促しているとされる。

 ダイセルでは現在、ウロリチンAのオートファジー機能の作用メカニズムを解明するため、オートファジー研究を行う大阪大学発ベンチャー企業、Autophagy Go社と共同研究を進行中だ。また、複数の国内大学と連携した機能性研究も多角的に進めているという。「ヒトでの効果検証など、さらなる機能性解明に向けて取り組んでいく」としている。

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