三生医薬が体制強化 中国市場進出を支援(2021.6.10)


書類作成から出店サポまで
 サプリメント・健康食品受託製造大手の三生医薬(静岡県富士市)が顧客企業への中国市場進出(輸出)サポート体制を強化している。異なる部門に在籍していた4名の中国人スタッフを海外部門に集結させた。中国市場に精通する国内外の企業や人らとの関係構築なども進めている。これにより、中国輸出に必要な書類作成からECモール等への出店サポートまで効率的に対応できるようにする。中国の法規制や法制度に合わせた商品開発・製造にも対応する。

悩む顧客に応える狙い
 中国市場での拡販を望む国内外顧客からの要望に対応することで、OEMメーカーとしての付加価値を高める狙い。原発事故を受けて中国政府が現在も食品の輸入を禁じている10都府県に該当しない静岡県に製造拠点を複数持つOEMメーカーとしての強みを生かす。

 新型コロナ禍で中国人を中心とするインバウンド需要が蒸発した。需要の恩恵を受けてきたドラッグストア等で販売されるサプリメント・健康食品にも大きな打撃を与えた。とはいえ、「メイド・イン・ジャパン」のサプリ等に対する需要自体は健在とみられる。そのため、ここにきてふたたび、最終製品販売会社らが中国市場進出に向けた機運を高めている。

 ただ、悩みもある。三生医薬が今年3~4月、顧客の最終商品販売会社ら10数社に対し、越境ECも含めた中国輸出の意向などを尋ねたところ、市場参入方法▽プロモーション方法▽レギュレーション対応▽知的財産権の担保▽市場トレンドの把握▽中国語対応──などに悩んでいる様子が浮き彫りになった。

 同社では、こうした悩みを「ニーズ」と受けとめ、それに応える目的で、以前から限定的に手掛けていた中国市場進出サポートを強化。異なる知識を持つ中国人スタッフ4名を海外事業部に集約させ、サプリメント・健康食品の中国輸出案件に専門的に対応できるようにした。

 また、現地市場に精通していたり、現地で活動していたりする国内内外企業や人材らとの協業関係の構築も進めている。中国現地情報の収集能力を強化しつつ、顧客の要望により深く対応できるようにする目的だ。

届出保健食品の開発・製造も
 こうした取り組みを通じて、中国輸出を巡り顧客からの要望が多い、頻繁に改正される傾向のある中国の法規制及び法制度に応じた商品設計▽輸出に必要な書類への対応(中国語対応)▽中国市場のトレンドなどに関する情報提供▽現地大手ECモールや大型免税店等への出店サポート──などに十分対応できる体制を段階的に構築する。

 また、中国市場に進出する海外企業からの届出件数が近年増加傾向にある「届出制保健食品」(中国・保健食品制度の一類型)の商品設計にも対応する。

 中国政府は今年3月、届出制保健食品に使用できる原材料を追加。新たにコエンザイムQ10、魚油、メラトニンなど5成分・素材を対象に加えた。

 同社の基幹工場(南稜工場)は、輸出用医薬品の製造許可を取得しているため、日本では医薬品として扱われるメラトニンを配合した届出制保健機能食品を同工場で製造し、中国に輸出できる可能性がある。

 同社によると、中国の保健食品制度では、使用できる原材料、剤形、製造工程などを定めている。そのため、保健食品の商品設計や製造などに当たっては、制度を熟知しておく必要があるという。

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