アフィリエイト広告巡り消費者庁 検討会で規制策を検討(2021.6.10)


「実態調査」も踏まえ議論
 消費者庁がインターネット上のアフィリエイト広告に関する有識者検討会を立ち上げ、初回会合を6月10日にオンラインで開催する。健康食品や化粧品が対象になることも多いアフィリエイト広告を同庁は以前から問題視。現在進めている「実態調査」の結果も踏まえて規制の方策などを探る方向だ。年内に一定の結論を得たい考え。検討会の事務局は、景品表示法の執行を担当する同庁表示対策課が務める。

不当表示防止急ぐ狙い
 商品・サービスの体験談が紹介されていたり、記事風だったりするアフィリエイト広告は、その商品・サービスを販売、提供する広告主ではなく、アフィリエイターが制作、掲載する点で一般的な広告とは大きく異なる。その上、広告主とアフィリエイターの仲介者(ASP)が存在するため、1つの広告に対して関係者が複雑に入り組んでいる。

 そうした特性のあるアフィリエイト広告に対して消費者庁は、「不当表示が行われるおそれが懸念される」(検討会開催趣旨)として強く警戒。その特性上アフィリエイト広告は「広告主による表示物の管理が行き届きにくい」「アフィリエイターが成果報酬を求めて虚偽誇大広告を行うインセンティブが働きやすい」(同)と考えられるためだ。それがアフィリエイト広告かどうか判別できない場合もある。

 実際、アフィリエイト広告は行きすぎた表示が目立つ。「無法地帯」(通販業界関係者)と指摘する声すらあり、消費者庁としても既に規制を強めているのが実態だ。

 消費者庁は今年3月、肌のシミが消えるなどと表示していた化粧品のアフィリエイト広告の内容が「虚偽・誇大」だとして消費者安全法に基づき消費者に注意喚起。広告されていた商品名や販売会社名も公表した。

 また、同月、育毛剤のアフィリエイト広告で景品表示法違反(優良誤認)を行っていたとして、広告主に対し、同法に基づく措置命令の行政処分を執行した。アフィリエイト広告そのものが違反に問われたのは初。また、広告を制作・掲載したのはアフィリエイターであっても表示責任は広告主にあることを認める形となった。

 アフィリエイト広告の内容が薬機法違反に問われた事案もある。大阪府警が昨年7月、肝臓に対する医薬品的効能効果を標ぼうしていたなどとして、広告されていた健康食品の販売会社従業員を始め広告代理店従業員ら6名を同法違反容疑で一斉逮捕した。

オブザーバーに警察庁
 消費者庁は昨年12月、アフィリエイト広告の実態を把握するための調査に着手。広告主からASPまでを対象にした「大規模調査」ともいわれる同実態調査の結果は近くまとまるとみられ、同庁が新たに立ち上げた有識者検討会における議論の材料としても活用されそうだ。

 消費者庁は、同検討会の主な検討事項として、①景品表示法の適用等に関する考え方②不当表示の未然防止等のための取組み──の2点を挙げている。

 また、目的については、「実態調査と並行し、さらに関係者から実態や課題について聴取してアフィリエイト広告の状況及び課題を明らかにし、不当表示が生じない健全な広告の実施に向けた対応策を検討する」などとしている。

 検討会の委員には、弁護士など法曹関係者をはじめ消費者団体関係者など計11名が就く。関連業界からは、日本通信販売協会、日本アフィリエイト協議会、日本アフィリエイト・サービス協会の関係者が委員に加わる。また、オブザーバーとして、東京都や国民生活センターの他、警察庁が参加する。


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