アフィリエイト広告 規制巡る議論開始 消費者団体の一部委員、健康食品を問題視(2021.6.10)


 成果報酬が発生するため虚偽・誇大表示のインセンティブが働きやすいなどと指摘されているインターネット上の「アフィリエイト広告」について、健全化に向けた不当表示防止策や規制策などを検討する有識者検討会の第1回会合が10日、オンライン形式で開催された。消費者庁が主催するもので、景品表示法の執行を担当する同庁表示対策課が事務局を務める。

 この日の検討会では、一部の委員から、健康食品のアフィリエイト広告を強く問題視する意見が上がった。意見したのは、消費者団体FOOCOM(フーコム)代表の森田満樹氏。

 森田氏は、「(健康食品に関するアフィリエイト広告以外の)一般の広告はある程度改善されてきたが、ここ5年でむしろアフィリエイト広告は過激さを増している」と指摘。また、「機能性表示食品についても、一般の広告は抑え気味の一方で、アフィリエイト広告では虚偽・誇大表示になっているものもある」と述べた。

 今回の検討会は、弁護士などの法律専門家、消費者団体関係者の他、日本通信販売協会、日本インタラクティブ広告協会を始めとする業界団体幹部など計11名で委員を構成。座長には、神戸大学大学院法学研究科の中川丈久教授が就いた。

 アフィリエイト広告は一般的な広告と異なり、広告を作成、掲載するのは広告主ではなくアフィリエイターとなる。通常の広告と比べて費用がかからず、多額の広告投資が難しいスタートアップ企業などが活用しやすい成果報酬型の広告であるため需要が高く、足もとの市場規模は3000億円を超えているとされる。今後も右肩上がりの拡大が見込まれている。

 その反面、成果報酬を追求するアフィリエイターによる虚偽誇大広告の横行や、広告表示に直接関与しないため広告主の責任意識の希薄化などが懸念されており、消費者庁は昨年末、アフィリエイト広告の実態調査に着手していた。

 消費者庁では、今回の検討会を通じてアフィリエイト広告の不当表示防止策などを検討し、年内中に一定の結論を得たい考え。また、実態調査の結果を今夏までを目途に公表する。検討会の議論の参考にする方向だ。

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