指定成分等含有食品 健康被害情報の推移 (2021.6.24)


5月は8件 減少傾向
 「指定成分等含有食品」との関連が疑われる健康被害情報について、2021年5月は計8件の報告が厚生労働省に寄せられていたことが分かった。同1~5月の5カ月間の報告件数は累計で80件に上る。ただ、指定成分等含有食品制度が施行された昨年6月から同12月まで7カ月間の累計報告件数は198件と200件近い。制度施行から6カ月以上が過ぎ、明らかな減少傾向を示している。

 同制度を所管する厚生労働省の医薬・生活衛生局食品基準審査課では、指定成分等含有食品との関連が疑われる健康被害情報を毎月集計、公表している。

 毎月の健康被害情報は、都道府県等から厚労省に報告されたもの。指定成分等含有食品を販売する事業者は、健康被害情報を都道府県等に報告しなければならない。指定成分等含有食品に関連して消費者から寄せられた健康被害情報を、因果関係が明確に否定される場合などを除き、所轄の都道府県知事に届け出ることが、事業者には義務付けられている。

 厚労省食品基準審査課の取りまとめによると、21年5月に寄せられた指定成分等含有食品による健康被害報告件数は、「ブラックコホシュ」に関して3件、「コレウス・フォルスコリー」が5件の計8件にとどまり、前月の18件から減少した。「プエラリア・ミリフィカ」と、日本では流通実態がないとみられる「ドオウレン」はそれぞれゼロ件。

 現在のところ、指定成分等含有食品制度に基づき「指定成分等」として厚労大臣に指定されているのは以上の4成分(原材料)となっている。

 改正食品衛生法で新たに規定された指定成分等含有食品制度の施行は2020年6月。今年、21年に入ってからの健康被害報告件数は制度施行当初と比べて減少傾向で推移している。

 21年1~5月の健康被害報告件数の推移を見ると、▽1月「5件」▽2月「12件」▽3月「37件」▽4月「18件」▽5月「8件」──で累計80件。3月が突出して多かったものの、昨年6~12月にはなかった1ケタ台が2回あった。

 昨年6~12月はどのような数字だったか。6月「11件」▽7月「34件」▽8月「33件」▽9月「49件」▽10月「22件」▽11月「17件」▽12月「32件」──と一時は50件に迫りながらの累計198件。前年同月との比較ができないため一概に言えないが、制度施行から半年が経過した後、指定成分等含有食品による健康被害報告件数は明らかな減少傾向を示している。要因は不明。

 しかし、健康被害報告件数が「ゼロ」だった月はこれまでにない。また、ブラックコホシュに関する報告件数が比較的多い傾向だ。厚労省が指定成分等含有食品制度を創設する要因となったプエラリア・ミリフィカを大きく上回っている。

 21年1~5月、プエラリアの累計7件に対して、ブラックコホシュは同19件と2倍超。20年6~12月においても、プエラリアは累計16件、それに対してブラックコホシュは同70件だった。

 一方、21年1~5月の健康被害報告件数最多は、4つの指定成分等の中で流通量が格段に多いとみられるコレウス・フォルスコリー。流通量の多さを反映し累計52件となり、過半数の28件が3月に集中した。ただ、昨年6~12月の累計106件と比較すると、半数以下にとどまっている。



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