改正特商法が成立、公布 誤認表示等に強い措置(2021.6.24)


通販「詐欺的な定期購入商法」に直罰規定 
 健康食品や化粧品などのインターネット通販で問題視されている「詐欺的な定期購入商法」を行う事業者への直罰規定などを盛り込んだ改正特定商取引法や、販売預託を原則禁じる規定を導入した改正預託法など3法を束ねた「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」が6月9日までに国会で成立し、同16日に公布された。一部の規定を除き、公布日から起算して1年を超えない範囲内での政令で定める日から施行される。

増え続ける消費者相談
 特定商取引法の主な改正内容は、①通販の詐欺的な定期購入商法対策②送り付け商法対策③消費者利益の擁護促進のための規定の整備──の大きく3つ。

 通販の詐欺的な定期購入商法は、とりわけインターネット通販で目立つ。意図せずに定期購入契約を結ばされ、契約を解除できないなどと訴える消費者からの苦情・相談は増加の一途を辿っており、社会問題にもなっている。

 そうした悪質な定期購入商法に対する規制強化を目的にした①では、▽「定期購入でないと誤認させる表示」に対する直罰規定▽誤認表示によって申し込んだ場合の取り消し制度の創設▽契約解除の妨害に該当する行為の禁止▽誤認表示や契約解除妨害を適格消費者団体の差止請求の対象に追加──といった強い措置を盛り込んだ。

 定期購入ではないと誤認させる表示を行った法人に対しては1億円以下の罰金を科す。行政処分を経ることなく直ちに罰則を適用できる。

 国民生活センターの調べによると、通販での健康食品などの定期購入に関する相談件数は、2020年度に約5万6000件に上り、15年比でおよそ10倍に拡大した。そのうち9割強がインターネット通販に関する相談だ。女性40~60代からの相談件数が最も多い。

 一方、19年度以降は、未成年や20歳代からの相談件数が急増している。健康食品では、男女ともダイエットサプリメントに関する相談が目立っている他、男性では筋肉増強サプリや口臭ケアサプリなど、女性ではバストアップサプリ、美容サプリなどに関する相談が多いという。

 来年4月に成年年齢が18歳に引き下げられることもあり、国民生活センターでは改めて注意喚起を強めている。

 改正特商法の公布について国民生活センターでは、詐欺的な定期購入商法を巡る相談件数の減少に向けて「一定程度の効果を期待したい」(相談情報部)と話す。改正法施行後の相談件数の推移を注視する考えだ。

 一方で、健康食品、化粧品などリピート商材の定期購入の仕組み自体は、消費者の利便性や経済性などが高い。そのため、多くの通販事業者が定期購入を販売スタイルに取り入れている。そうした中で今回の法改正が、通販事業者全体に対する足かせとなることを懸念する声もある。

 インターネット通販での詐欺的な定期購入商法を行う事業者は一部の悪質事業者に限られると言われる。社名を変えながら同様の手口を繰り返しているとみられている。

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