中国サプリ事業 どう伸ばす ファンケル(2021.7.29)

インタビュー事業戦略 ファンケル田中さん① インタビュー事業戦略ファンケル製品陳列風景_②

一般貿易と越境ECの両輪で拡大 ファンケル 田中毅史 海外事業戦略部部長
 今年5月に新たな中期経営計画を策定し、その方針のひとつとして「本格的なグローバル化の推進」を掲げたファンケル(横浜市中区)。主力の化粧品とともに、サプリメントの海外展開も加速させる。そのなかで、中国を最重要国として位置付け、昨年12月からは中国の保健食品の販売も始めた。2020年度で20億円を計上した中国サプリメント事業の売上高を、23年度に60億円に引き上げる戦略を打ち出す同社の中国での拡販戦略を、海外事業本部の田中毅史・海外事業戦略部部長に聞いた。

――今後のグローバル展開のひとつの軸として、中国におけるサプリメント事業を揚げています。昨年12月から中国国内で流通できる保健食品の販売を海南島の市中免税店で始めました。6カ月経ちましたが、成果はいかがでしょうか。

 「中国事業の現地パートナーの中国国際医薬衛生有限公司(国薬国際)とともに市場開拓を進めています。最初に販売したのが亜鉛で、年明けしばらくしてからビタミンC、E、鉄、カルシウムの計5品目の販売を始めています。中国のサプリメント市場は、基礎サプリとされるビタミン、ミネラル類の割合が約4割を占めるというデータがあります。この市場を我々としてはまず押さえていきたいと考えています。そのため、サプリメントの機能を最大限に発揮させるよう、当社独自の製剤技術『体内効率』を用いるなどして差別化を図っています」
 「現在展開している保健食品5品のなかで、出だしで売れ行きの良いのが亜鉛、カルシウムのミネラル系です。国薬国際とニーズの分析を進め、今後の販売活動に活かしていきます」

保健食品の販売 今年から本格化
――保健食品の今後の販売チャネルの開拓はどう進めますか。

 「最初は海南島の市中免税店1店のみでしたが、いまでは百貨店やスーパー、ECのプラットフォームなどに販売チャネルが広がっています。取引先も順次広げ、今後の売上が期待できるものと考えています。販売エリアとしては、上海や北京など沿海部エリアを中心に進めていく計画です。スーパーは、日本製品を取扱う高級スーパーなどに配荷を進めています。配荷先の店舗数は公表していませんが、まずは中国のそれぞれの省において、当社の保健食品の認知を高めることを進めます。4月から本格的な販売チャネルの開拓を進めている段階です」

――保健食品を浸透させる方策としてどのようなプロモーションを計画していますか。

 「現在はまだ5品目しか販売していませんが、21年度中にはこれを15品目に拡大させる予定です。ラインナップが拡充された段階で、ECのプラットフォームに旗艦店を出店したり、配荷先の店舗において目立つようなディスプレイを用意するなど、様々なプロモーションを通じた訴求方法の取組みを考えているところです」

――ビタミン、ミネラルの次は、生活習慣対策のサプリメントを販売する計画を立てていますが、進捗はいかがですか。

 「生活習慣対策分野のサプリメントは24年度から販売していくための準備を進めています。保健食品で謳える生活習慣に関わるヘルスクレームはいくつかありますが、当社が日本で展開している機能性表示食品などで生活習慣に関わる機能性を表示しているサプリメントなどを候補に考えています。また、中国現地での予防に対するニーズを捉えながら、国薬国際と協議して商品開発を進行しています。国民の健康維持や成人病の予防に関しては中国政府の方針もあり、サプリメントに対するニーズや親和性が高い。そこにビジネスチャンスがあると捉えています」

――保健食品の販売に先行して、越境ECでのサプリメント販売を2018年から始めています。

 「越境ECのサプリメントアイテム数は約50品目で展開しています。越境ECの売上の約6割を年代別サプリメントが占めています。それら購入者の中心は20~30代の女性層です。その女性層と親和性が高いのが美容面であろうと。その女性層に向けたアプローチを強めているところです。今年から、独自のコラーゲンペプチドを配合した美容食品のタブレット、ゼリー、顆粒タイプの販売を始めています。今後はその美容カテゴリーにおける訴求を進めていきます」

 「美容分野と並行し、その女性の家族へのアプローチも進めていきます。その家族をサブターゲットに位置付け、生活習慣対策などのサプリメントを訴求していきます」

――ファンケルのサプリメントと医薬品を飲み合わせた際の相互作用を確認できる独自のサービス「SDIシステム」を中国市場でも導入されています。中国での反応はいかがですか。

 「中国でのSDIシステムは2020年から始まっていますが、まだ、SDIシステムについての認知が十分ではないという段階です。そのため、国薬国際を通じてTモールでの告知を皮切りに今後は本格的な訴求を始める予定です。ただ、これは仮説になりますが、越境ECの主要ターゲットは若い女性層で、医薬品の服用はそれほど多くない。それを考えると、一般貿易で展開する保健食品の取り扱い品目を拡大しターゲットが広がるなかで、SDIシステムに対する認知も高まるものとも考えています」

潜在能力高い市場 23年度に60億円へ
――20年度の中国サプリメント事業の売上高を23年度までに60億円に拡大させる計画です。また、海外事業の最重要国は中国ですが、その他の国・地域への事業計画はいかがでしょうか。

 「海外のサプリメント事業では、中国の市場シェアをなんとしてもとっていこうと。中国は規模も大きく、今後の成長性からも、引き続き力を入れていく計画です。23年度の目標額60億円のうち、越境ECを8割、保健食品を2割ぐらいの比率で考えています。ただこの60億円という数字は手堅く見積もった控えめな数字になります。中国市場のポテンシャルは高く、さらに上を目指すべく取組んでまいります」

 「サプリメント事業の展開国・地域は、現在のところ中国、台湾、シンガポール、香港のアジア圏のみとなります。化粧品事業では米国など欧米に進出していますが、サプリメントは国によって許可制度などハードルが高い。アジア圏では化粧品事業でのアドバンテージが当社にはある。先ほども申し上げた、『体内効率』など差別化できる優位性も発揮できる場所と捉えています。まずは最重要国とする中国において、ファンケルのサプリメントを浸透させていくことに注力していきます」

【写真=左:ファンケル 田中毅史 海外事業戦略部部長 右:昨年12月から販売を開始したファンケルのビタミン、ミネラルの保健食品。販売チャネルは免税店はじめ百貨店、スーパーなどに広がっている】


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