ファーマF ロート製薬 資本業務提携を強化 (2021.7.29)

ロート製薬とファーマフーズ①

海外生産体制の確立も視野
 ファーマフーズ(京都市左京区、金武祚社長)とロート製薬(大阪市生野区、杉本雅史社長)は、以前から取り交わしていた資本業務提携を強化することで合意し、7月16日に新たな資本業務提携契約を締結、発表した。

 資本業務提携を強化することで、両社が注力しているサプリメントなどの機能性食品やスキンケア製品の開発・生産・販売をめぐるパートナーシップをより強固なものとし、国内外の相互リソースを活用しながら収益拡大を図る。ファーマフーズでは、機能性食品素材の生産拠点を海外に保有することになる見通し。

 両社は、最初の資本業務提携契約を2005年9月に締結。これまでに、ファーマフーズの独自素材『ボーンペップ』を配合した健康食品『セノビック』をロート製薬が開発、販売するなどの業務提携を進めてきた。

 ロート製薬は今年1月末時点で、ファーマフーズの普通株式40万株(発行済株式総数の1.37%)を保有。新たな資本業務提携契約に基づき、20万株(同0.69%)を上限に株式市場から買い付け、60万株に持分比率を増やす。

 また、ファーマフーズも、ロート製薬の普通株式を20万株、取得金額としては6億円程度を上限に市場から買い付ける。

 新たな資本業務提携をめぐる具体的方針と内容は今後両社で協議するが、高付加価値の新規育毛剤を始め、機能性食品やスキンケア製品の共同開発を進めていく方向だ。

 販売面でも連携し、通信販売プラットフォームを活用しながら国内外で販売を進める。ロート製薬が強みとする東南アジア地域での販売拡大をめざしたい考えだ。

 また、ロート製薬が海外に保有するリソースを相互に活用していくことも計画。具体的には、ロート製薬が保有する海外生産拠点を活用し、ファーマフーズが原材料販売を手掛ける独自機能性食品素材を海外で生産できる体制の確立に向けて検討を進める。

 同様に、両社協業品(最終商品)の海外生産体制の確立も検討する。機能性素材から最終製品まで海外生産体制を確立することで、将来の需要増に対応する狙いだ。

ファーマフーズ 売上高461億円超へ 今期業績予想を上方修正
 ファーマフーズは、今期(2021年7月期)の通期連結業績予想を7月19日までに見直し、売上高や各利益を大幅に上方修正した。

 売上高予想は461億3500万円に修正。4月の前回発表予想時から約61億円引き上げた。前期の売上高実績は約153億円だった。好調な通信販売事業がけん引する形で3倍超に達することになる。

 同社は7月19日、21年7月期業績予想の上方修正を発表した。利益に関しては、営業利益が約50億円、経常利益は約51億円、純利益は約33億円がそれぞれ予想されるという。前回(4月)発表した業績予想との比較で増加率は136~約143%増と、各利益が大幅に増加する見通しを示した。

 業績予想を上方修正した背景には、育毛剤やサプリメントなどを主力商品とする通販事業の収益が引き続き拡大していることがある。具体的には、高い件数水準を維持している定期顧客によるリピート購入が一層進展していることがあるという。

 また、機能性素材事業も好調に推移している。主力素材である『ファーマギャバ』(GABA)の受注が引き続き好調に推移した他、国内OEM事業でも、「コンビニ向けパウチゼリーやモリンガ入り青汁飲料等の受注が当初想定より増加した」という。

 同社では、今期業績について、「利益創出の構造が変化」していると指摘。通販事業で主力の育毛剤や白髪染めに関する積極的な広告投資を継続している中で、広告宣伝費用の増加を上回る規模で「リピート購入による利益回収が進んで」いるとする。

 また、運賃など「全ての経費の削減にも取り組んだ」ことで、「積極投資と利益創出を両立する構造」を形成できたと評価している。

【写真=ロート製薬とファーマフーズは7月16日、資本業務提携強化をめぐる合同記者会見を開催。ロート製薬からは山田邦雄会長(写真右)、ファーマフーズからは金武祚社長が出席した。(写真=ロート製薬提供)】



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