沖縄テレビ子会社 ジオスゲニンで市場参入(2021.7.29)

沖縄テレビ開発合体③

県産ドゲドコロ活用
 沖縄テレビの子会社で、番組の企画・制作などを手掛ける沖縄テレビ開発(那覇市)が、健康食品市場に本格参入する。

 同社のヘルスケア事業部は、トゲドコロ(クーガ芋)に含まれる機能性成分ジオスゲニンを濃縮させたトゲドコロ乾燥粉末の製法を開発し、このほど特許を出願。その機能性を検証する大規模臨床試験を、近く、立命館大学との産学連携で開始する。トゲドコロ由来ジオスゲニンを機能性関与成分にした機能性表示食品の届出も視野。沖縄県内で生産するトゲドコロを原材料として活用し、地域の産業振興にもつなげたい考えだ。

 トゲドコロには、女性ホルモン前駆体のDHEAに似た構造を持つ機能性成分ジオスゲニンが含まれることが知られる。同社によれば、沖縄県内では以前から、トゲドコロを生食用として生産、販売していた。同社では現在、ヘルスケア食品素材としての沖縄県産トゲドコロの産業化に向け、県内農家と連携し、生産規模の拡大を図っている。

 製法に関する特許は今月2日までに出願。同社が特許出願したトゲドコロ乾燥粉末の製法では、トゲドコロに含まれる糖質を除去などすることで、ジオスゲニン含量が、既存のトゲドコロ乾燥粉末との比較で約5倍(100㌘あたり255㍉㌘→1324㍉㌘)に上昇するという。既存比で約5倍に濃縮させることが可能になった。

 同社では、この独自製法に基づくジオスゲニン含有トゲドコロ乾燥粉末の機能性研究も進めている。2019年に立命館大学との共同研究をスタート。昨年、沖縄県内で予備的臨床試験を実施した。その結果、高齢化に伴い減少する性ホルモンの調整を補う可能性が示唆されたという。

機能性表示対応も視野
 また、来月から新たな臨床試験を開始する計画だ。県の支援も受け、被験者を100人規模に拡大させた大規模臨床試験を県内で進める。これにより、機能性表示食品として届出可能な機能性に関するエビデンスを得る考えだ。機能性表示食品を軸にした産業化を進める狙いとみられる。

 今後の産業化にあたっては、まずは対消費者ビジネスを展開する。沖縄県内の契約農家をはじめ外部の商品開発コーディネーター、研究・開発支援機関、アカデミア、原材料加工・最終商品製造会社、ヘルスケア関連の販売パートナーなどと連携し、自社ブランドのサプリメントや栄養補助スナックなどを来年春にも市場投入する予定だ。

 また、メディア企業である強みを存分に生かし、マスメディアも活用した商品ブランディングを進める。これによりトゲドコロやジオスゲニンの消費者認知度向上を図る。その上で、トゲドコロの生産規模拡大が軌道に乗ることを前提に、原材料販売ビジネスに乗り出すことも視野に入れている。

【写真=沖縄県内で生産されるトゲドコロ。沖縄テレビ開発では、契約農家と連携し、生産規模の拡大にも努めている(写真=沖縄テレビ開発)】

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